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◆◇◆ ☆建築雑知識 028号
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■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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■住宅性能表示の評価基準の(7)光・視環境
光が人間生活にとって大変重要であることは、今さら言う迄もありません。
「光」が持つ健康や、衛生面での働きは、私たち人間だけでなく大好きなペ
ットや、植物にも大きく影響しますね。
また、光が作り出す陰影の強弱や、陰陽のコントラストは、私たちに豊かな
心理的影響を与えます。
一口に"光"と言っても"光"には色々の種類がありますが、ここでは自然光の
次の2つの種類を言います。
1.直射日光
・・・太陽から直接注がれる光は、私たち動植物が生きていく上で必要な
大変強いエネルギーを与える他、ダニなどの有害虫や、カビなどを
殺菌する強い力を持っています。
また、強いエネルギーは、場合によっては有害なものにもなります。
例えば、夏の冷房にとっては大きな負荷となるますし、その強いエ
ネルギーは建物の内外装の建築材や家具を色あせさせたり、劣化さ
せたりもします。
また、私たちには、直射日光に含まれる放射線で「癌」の心配もし
なければなりません。
”建築的には、「陰と陽」の強いコントラストを作り出します。
また、影は時々刻々と変化し、時の流れを表現します。”
2.間接光
・・・太陽から発せられた光は、雲の水滴や空気中の浮遊物などで反射、
拡散され、地上では庭木や建物でも反射、拡散されます。
太陽に背を向けた北側の窓からも光が入るのは、この反射、拡散光
です。
拡散された分エネルギーは弱く、殺菌力も弱いものとなります。
”建築的には、優しく、穏やかな安定した陰影を造り出します。”
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◆建築基準法では「光」をどのように扱っているでしょう。
建築基準法では、"自然光"を人の生活に欠かせないものとして、部屋の大
きさに応じて窓の大きさを決めています。
建築基準法では直射日光と間接光の区別はありませんが、部屋の用途によ
って部屋の面積に対する割合を決めています。
特に、人々が日常的に生活する住戸や、子供達が長時間過ごす教室や保育
室などは、窓も大きく採るように規定しています。
・住戸の居室 :室面積の1/7以上の窓
・学校、幼稚園: ″ 1/5 ″
・病院の病室 : ″ 1/7 ″
でも、せっかく窓を大きく設けても、窓のすぐ隣りに建物があったりする
と、光も通風も充分でなく、それこそジメジメとした「湿気ハウス」とな
ってしまいます。
建築基準法では、窓の機能を充分に果たすために、窓と隣地や他の建物と
の空きスペース確保するように決めています。
☆(建築基準法は改訂され、平成12年6月から採光の取り方の基準が変わ
りました。)
★【改訂前の基準】は下の図のような考え方です。
・建物の一番出っ張った屋根や
│〜境界線 庇から斜めの採光斜線を引き
│ /〜採光斜線 それが境界線とぶつかった所
│ / から上の窓が採光に有効な窓
│ /─┬─────┬─ とし、下の窓は有効でないと
│ / │ │ してます。
隣地 │ / │ 建物 │ 有効にするには、建物を境界
│ / │<断面> │ 離せば有効になります。
│/ │ │
├─── ┼ ─ ─ ┼ ─ ─┬(基準線)
│ │ │ ↓
│ │ │ これより下の窓は、どんなに大
地盤面─┴─── ┴─────┴──── きくても有効では有りません。
★【改訂後の基準】は下の図のような考え方です。
改訂前の考えでは、基準より上か下かで有効であったり無効に成ったりし
ますが、現実は下に行くに従い段々と光が入らなくなります。
そこで改定後は、斜線が境界線とぶつかった基準線より下でも、基準線か
ら距離に応じて採光が有るとしました。
・採光斜線と境界線とぶつかっ
│〜境界線 た所(基準線)から上では割
│ /〜採光斜線 増しに、下は割引にして計算
│ / します。
│ /─┬─────┬─
│ / │1.4 │
隣地 │ / │ │
│ / │1.2 │
│/ │ │
├─── ┼1.0 ───┤────┬(基準線)
│ │ │ ↓
│ │0.8 │ これより下の窓でも有効に成ります。
地盤面─┴─── ┴─────┴─(ただし、マイナス数値になるとダメ)
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【採光に有利な扱い】
・境界線には隣地境界線と道路境界線とがありますが、上記の境界線はあく
までも、隣地境界のことです。
では、道路境界線はどの様に扱っているのでしょう。
道路境界線の場合は道路の幅の分空地があり、また道路斜線で空間が確保
されますので、採光のために道路から離して建てる必要は全くありません。
道路に面した窓は高さに関係なくすべて有効と成ります。
住宅地で角地の地価が高いのは、それだけ採光、通風が確保されている敷
地と言うことでしょうね。
・隣地境界線に面していても、境界から一定の距離離せば道路と同じように
すべての窓が有効になります。その距離は用途地域によって変わります。
・第1種(第2種)低層住居専用地域 ┐
・第1種(第2種)中高層住居専用地域 ├─ 7m離す。
・第1種(第2種)住居地域 │
・準住居地域 ┘
・準工業地域 ┐
・工業地域 ├─ 5m離す。
・工業専用地域 ┘
・近隣商業地域 ┐
・商業地域 ├─ 4m離す。
・用途指定のない地域 ┘
※商業地域は、採光の面でも有利な扱いになっていますね。だから地価も高
く成るわけです。
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◆住宅性能表示では「光」をどの様に扱っているのでしょう。
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建築基準法では、人々の健康のためには最低これだけの窓を摂りなさい。
と言う決め方ですが、住宅性能表示では、住宅の原状を性能項目別に分
析し、等級や数値で表示します。
1.単純開口率
・・・部屋の面積に対して、部屋の外壁や屋根に設けた窓の大きさの割合
(屋根の窓は、壁の窓の3倍の働きを持つと言われています。)
2.方位別開口比
・・・部屋の外壁や屋根に設けられた窓の方位毎の比率
(性能表示では、人間が生活していく上で日照の必要性を重視し、直射日光
の働きを考慮して、方向別にきめ細かく分類して評価しています。
これが、直射日光も北側の間接光も同じ扱いにしてきた建築基準法と大き
く違うところです。)
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◎"光"に対する扱いは建築基準法、住宅性能表示制度によって異なりますが、
共に自然光を対象としています。
現代社会では、自然光以外に人工照明による"光"が重要な位置を占めます
が、ここでは趣旨から外れますので又の機会に扱います。
◎建築基準法での窓と隣地境界との空きスペースは、基準法の改正で少し緩
和されました。
これは、都市部では敷地規模からして充分な空地を要求する事に無理があ
り、この基準が違法建築を多く作り出している現実を考えたことと、光の
性質を分析し、科学的に裏付けされたためと考えられます。
◎今では、地下の住宅の建設も法的にも可能となっています。これは、照明、
換気、除湿などの設備機器が発達したことが大きな要因です。
◎これらの緩和は、設計の自由度を増し、色々な発想が可能となります。
それに我々設計者は、法的規制や数値的評価以外に”光"の持つ心理的要素
も取り入れてプランニングしていきます。
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★編集あとがき★
マガジンを発行していると、お互いにマガジンを紹介し合いましょうとお誘い
が有ります。幸いにお誘いを頂いたマガジンは、内容がためになるもので表現
もソフトで読みやすいマガジンでした。直ぐに快諾しましたが、「建築雑知識」
ではマガジン紹介欄が有りません。どのように紹介しようか検討中です。
紹介欄が出来ましたら、皆様も覗いてみて下さい。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
が「建築を愛する皆様」へお送りします。
編集発行:E&A建築企画 事務局
E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
http://www.kentiku-kikaku.com/
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