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建築知識
 
027号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            027号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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 <鬼は、そと〜っ!> え〜?節分はもう先週終わっちゃったよ?
 いえいえ、節分の話ではありません。シックハウスの話です。
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■住宅性能表示の評価基準(6)空気環境−その2
 先週に引き続き「シックハウス」をお送りします。

 20世紀は科学の進歩で様々な製品が生み出され生活が豊かになった反面、予期せ
 ぬ不幸な事態も生み出しました。「シックハウス」もその一つです。
 最初の内は原因が何か分からない状態が続きましたが、VOC(揮発性有機化合物)
 を含んだ新建材が原因と分かった今、建材には吟味して使わなければなりません。

 色んなマガジンやホームページでも「シックハウス対策」を扱ってますが、その多
 くは ・VOCを含まない自然素材で家を造ろう。
    ・VOC含有量の少ない建材を選ぼう。
 など、これから建てる建物の対策が扱われています。

 でも、既にVOCを多く含んだ建材を使って建てられた住宅や、建物はどうすれば
 良いのでしょう?
 ビニールクロスや合板、フローリングを片っ端から引っ剥がし、無垢(むく)の板
 や塗り壁にしないといけないのでしょうか?
 そうなると大変なことですね。今でも住宅ローンが残っているのに、更にシックハ
 ウス対策で相当の出費を強いられるのはつらい話です。

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【鬼は外!】

 室内に浮遊する有害物質を減らすのに最も有効なことは、換気です。自然素材であ
 っても、極わずかですが有害物質はでてきます。問題は有害物質の濃度ですね。
 接着剤を使用した新建材は、絶えず有害物質が揮発し続けています。室内を閉め切
 っていると、当然有害物質は室内に充満してしまいます。

 ここで換気をすれば、途端に「シックハウス」とは無縁の濃度まで下がります。
 シックハウスに成らないための濃度とは、厚生労働省で0.08ppmと定めています。
 換気をすれば濃度は薄まりますが、夏の冷房時や冬の暖房時、また梅雨時に絶えず
 窓を開け放つ事もできません。
 その場合は機械換気に頼ることになりますが、単純な換気扇では冷気も暖気も一緒
 に外に追い出してしまいます。熱交換機に接続された換気設備はその点有効ですね。

 昔の住宅は意識しないでも自然とすきま風などで換気ができていましたが、現代の
 建物は戸建て住宅でも高気密に成ってきています。意識して換気した方がいいです
 ね。特にVOCが多い住宅では連続換気が望まれます。 

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【その他のVOC除去法】

 1)VOCを吸着して取り除く方法
   a.観葉植物を室内に置く。
     「虎の尾」、「ポトス」、「シダ類」等はCO2(炭酸ガス)だけでなく
     VOCも取り込んでしまいます。でも、残念ながらその量はわずかですの
     で、観葉植物だけで解決するには無理があります。

   b.活性炭で除去する方法
     臭いや湿気など活性炭は活躍しますね。「VOCも活性炭が有効です。」
     と言いたいところですが、実はそのままでは有効でないのです。
     VOCの粒子は余りにも小さくて、多孔質の活性炭の凸凹に取り込まれて
     も、直ぐに出てきてしまうからです。
     この場合、金属酸化物や光触媒を使ってホルムアルデヒドを吸着しやすい
     別の物質に分解してから吸着する方法を採ります。

   c.シックハウス対策塗料を塗る方法。
     水性以外の多くの塗料はその溶剤にホルムアルデヒドを発生させる物質が
     含まれています。
     開発された塗料は水性エマルションタイプの塗料に、活性炭よりも吸着力
     のある天然素材を溶かし込んだもので、天然素材の吸着力でホルムアルデ
     ヒドを取り込み室内に出さない様にしたもの。
     ビニールクロスや木部にも塗れますが、あくまでも塗料ですから部屋の雰
     囲気は変わります。

   d.その他ゲル状の物やビーズ状の物など多数製品化されています。
    


 2)マイナスイオンのちからを利用する方法
   a.有害物質はプラスイオンでマイナスイオンを発生させることで、有害物質
     を中和するやり方。

   b.遠赤外線を発生する物質と水を混合し噴霧する。遠赤外線は絶えずマイナ
     スイオンを発生させ、有害物質と中和する。

 3)ホルムアルデヒドの結合を増し、揮発を防ぐ方法
   a.分子レベルで結合を増す物質を水と反応させて噴霧し、その物質がVOC
     の結合力を増す事で揮発を防ごうとする物。
    

 4)新建材の中のVOCを無理矢理揮発させ、換気などで除去する方法
   a.ホルムアルデヒドは高温になると揮発が高まります。また、非常に水に溶
     けやすい性質があります。これらの性質を利用して室温を40℃以上にし、
     新建材に含まれているVOCを無理矢理揮発させて、それを換気や水膜を
     通すことで除去する方法です。


 ★注意★★★★
  ここに紹介した商品や工法はすべて有効とは言えません。中には一時的に数値は
  下がりますが、数週間、数ヶ月すると元に戻るもの(リバウンド)するものも有
  るようです。

  シックハウスが社会問題となり各社その対策に取り込んでいますが、まだまだ理
  論だけが走って、商品が追い付いていない物も有るようです。
  中にはホルムアルデヒドの性質を旨く利用し、一時的な効果を表す物も有るよう
  ですから要注意です。(どれと、この場では言えませんが。)

  今のところ、換気に勝る方法はなさそうなので、豆に換気しましょう。ホルムア
  ルデヒドだけでなく、カビや  ダニ対策にも有効です。

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★用語の説明コーナー★    
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 ppm  ・・・濃度を表す単位。
         ppc(part per cent)   :100分の1
         ppm (part per million):100万分の1
         ppb (part per billion):10億分の1
         シックハウスは、厚生労働省で決めた0.08ppmを考えると、いか
         に小さい値での事かが分かりますね。

 ホルマリン・・・成分としてはホルムアルデヒドと同じですが、ホルマリンはホル
         ムアルデヒドの37%の水溶液のことです。

 VOC  ・・・先週空気中の有機加工物を細かに分類しました。揮発性の高い順
         にVVOC、VOC、SVOC、POMですが、これら揮発性の
         有機化合物を総称して「VOC」と呼びます。 
      
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★編集あとがき★
今日は少し寒さも緩んだ気がします。少しずつ少しずつ春に近づいてる感じがします。
窓を精一杯開け放って新鮮な空気を取り入れたいのに、花粉の固まりが入ってきそう
で、花粉症の私にとっては少し憂鬱な季節を迎えることになります。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
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                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
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