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◆◇◆ ☆建築雑知識 026号
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■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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■住宅性能表示の評価基準(6)空気環境−その1
今回からテーマが変わります。空気環境と言われても何のことだろう?と思われる
かもしれませんが、俗に言う「シックハウス」の事です。
「シック」(sick)・・・病気
「ハウス」(house)・・・家
「シックハウス」 ・・・家の病気? 病気の家?
シックハウスは家の病気でも病気の家でもありません。家が原因で起こる様々な
病気のことです。一般的には「シックハウス症候群」と呼ばれています。
家が原因の病気とは、家相が悪いと病気になると言うこと?
いいえ、家相が原因ではありません。家相のことは「Dr.K」にまかせるとして、
シックハウスの原因は、家に使われている新建材が原因となっているのです。
自然素材(土や木、竹、紙、藁など)で出来ていた従来の住宅に対して、現代の
住宅は合板や成形板、化学新材などの新建材に囲まれていると言っても過言では
ありません。その新建材に使われているホルムアルデヒド(ホルマリン)が病気
の原因となります。
その他に原因物質として、接着剤や防腐剤、防カビ剤、防蟻材などに含まれてい
るトルエン、キシレン、クロルピリホスなどが上げられます。
これらの物質は十数年に渡って空気中に揮発し続け、これが1立方メートル当た
りの濃度が基準を越えると身体に支障を来すと言われています。
例えば、目がチカチカするとか、嘔吐感があるとか、鼻がグシュグシュするとか
の症状が出てきます。この様な症状も、家から一歩外に出ると、全く出なくなる
などが特徴です。
もちろん、個人差はあると思いますが、特にアレルギー体質の人は要注意です。
対策としては、原因物質の除去、濃度を薄くする(換気)しかないと言われてい
ます。
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【住宅性能評価でのシックハウス】
「シックハウス」を住宅性能評価で評価するのは大変難しいことですが、皆様方の
関心の高い事項なので次のような点を評価基準にしています。
1)建材はホルムアルデヒドの放出が少ないものを使用しているか。
2)換気、通気への配慮が充分か。
3)現場作業で使用する接着剤などは必要最低限とし、乾燥に必要な養生期間を
充分に取ってるか。
1)・・・建材のホルムアルデヒドの放出量はJIS(日本工業規格)やJAS(日本
農林規格)で3等級に分類しています。
すべての内装建材がJISやJASの認定表示がされている訳ではありませ
んが、(社)合板検査会、(社)日本建材産業協会等の第三者機関で
試験や認定がされたものは、JISやJASと同じ扱いをします。
※「シックハウス」を避けるには、原因物質を含んだ新建材を使わない事ですが、
現代の住宅は新建材抜きにはコスト面から考えられません。
でも、放出量の少ない建材をセレクトして使えば性能評価も高くなるわけです。
2)・・・放出量が少ない建材を使用しても、閉め切った部屋では濃度はドンド
ン高くなってしまいます。
部屋の換気を充分にして室内の濃度を薄く事も重要な要素です。
3)・・・現場で使用する接着剤は多数有ります。クロスの糊、化粧番板の接着、
ボンド、塗装材等です。
現場では施工するものをすべて審査することは、書類でも現場におい
ても現実には不可能です。
この規定は業者に対する注意喚起的記述ですね。
※工場製品だけを規制しても、現場では多くの原因物質が使われています。業者
の中には、シックハウスに無頓着な業者も居ますので、設計仕様や監理が重要に
なってきます。
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「シックハウス」問題は、新建材が増えるに従ってその被害が増えてきています。
使用する側に「気を付けて選択して」と言う悠長な問題では無くなってきました。
そこで国会でもその使用規制を含めて審議し、使用禁止等の規制が採決されました
ので参考に記事を掲載します。
■2化学物質を初めて法規制 シックハウス対策で
(2002年7月 朝日新聞)
建材などに含まれる化学物質による室内空気汚染で体調を壊すシックハウス症候群
対策として、2種類の化学物質の使用を禁止・制限する建築基準法や都市計画法な
どの一括改正法が5日の衆院本会議で、自民、民主などの賛成多数で可決され成立
した。
同症候群の原因物質が法規制されるのは初めて。1年以内に施行される。規制され
るのは、シロアリ駆除剤として使われるクロルピリホスと、合板や壁紙の接着剤な
どから出るホルムアルデヒドの2種類。それぞれの物質を出す恐れのある建材のう
ち、クロルピリホスは使用禁止、ホルムアルデヒドは一定面積以上の使用を制限す
る。
また、マンションなど気密性の高い住宅では換気設備の設置を義務づける。違反す
ると、建築業者などに自治体から改修命令が出され、従わない場合には1年以下の
懲役か50万円以下の罰金が科されることがある。室内汚染にかかわるものとして、
厚生労働省は13種類の化学物質を選んで室内濃度の指針値を定めている。国土交
通省などの調査の結果、クロルピリホス(指針値0.07ppb)、ホルムアルデ
ヒド(同0.08ppm)ともに指針値を上回る住宅が見つかり、発生源が特定で
きたため規制することにした。とくにクロルピリホスはいったん発散すると換気し
ても効果がないため、使用禁止にしたという。国土交通省の社会資本整備審議会は、
トルエン(指針値0.07ppm)、キシレン(同0.20ppm)などについて
も規制を検討すべきだとしている。同省ではこれらの物質についても指針値を上回
る事例が見つかり、発生源が特定でき次第、順次規制対象に加えることにしている。
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【化学物質だけでない空気汚染】
住宅内の汚染は新建材による化学物質だけではありません。
ダニ・・・住戸内に生息するダニの種類は数十種類に及ぶとと言われています。
また、その数は1m2当たり数十万匹とも言われています。まるでダニ
の中に身を置いている感じさえしますね。
ダニの影響は刺されることでなく、ダニの死骸が身体に影響を及ぼす
ことです。ダニの死骸がアレルギーの原因物質になっているのです。
ホコリ・・埃自体がアレルギー原因物質になるほか、ダニの住みかに成ってしま
います。床、壁、家具は言うに及ばずカーテンなどの日々の清掃は怠
れませんね。
■シックハウス症候群も個人差があります。特定の物質に過敏な体質(アレルギー)
の人に影響を与えていますが、アレルギー体質の人は確実に増え続けています。
現在の環境は、アレルギーを引き起こす原因と考えられている物質が充満してい
るので、アレルギーもシックハウスも関係ないと思われている人も、いつアレル
ギー体質に転換するかもしれません。要注意ですね。
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★用語の説明コーナー★
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空気中の有機化合物は色々と有り、沸点により以下のように分けられます。
沸点の低い(低温でも揮発する)順に並べると
VVOC・・・高揮発性有機化合物
ホルムアルデヒド(-21℃)、塩化ビニルモノマー(-14)、アセトアルデヒド(20)
VOC ・・・揮発性有機化合物
酢酸エチル(77)、トルエン(110)、キシレン(140)、p-ジクロロベンゼン(186)
SVOC・・・準揮発性有機化合物
リン酸トリプチル(290)、フタル酸ジブチル(390)
POM ・・・粒子状有機物
PCB、ベンツa-ピレン
ホルムアルデヒドはシックハウスの原因の代表格で言われますが、それは揮発性が
最も高いためと、良く使われているためですね。
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★編集あとがき★
これまでは工場が吐き散らす排煙やジーゼル車がまき散らす煤煙が、大気を汚染
する物質として社会問題視されてきましたが、今や汚染は個々の住宅の中にまで
入り込んで来ています。
次回はシックハウスその2をお送りします。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
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編集発行:E&A建築企画 事務局
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