~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H25.10.20記》
■ 平成25年度設計製図試験ー試験が終わって
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「E&A」は毎年試験当日に回答例を公表してきました。特徴は、受験者の皆さんと同じように時間
を制限しての回答のため、とても模範解答とは言えない代物と思います。まぁ、突っ込みどころ満載
と言って良いですね。どこよりも早く、また細部が不明朗なまま掲載したために、ご覧になった皆様
からの指摘も数多くありました。それらの指摘の中で少し気になったのは、課題に関わらず杓子定規
マニュアルを振りかざしている意見でした。これからからお送りするのは、それらの意見に対する反
論を交え「E&A]の回答を題材に進めようと思います。
【H25年度設計製図試験チャレンジ!】
毎年回答例を作成するのには緊張します。まず、時間内にまとまるかな。稚拙な回答しかできない
のではないかなど結構プレッシャーなのです。今年は協力者からの課題文が思いの外早く着いていて、
夕飯を食べる前に気がつき、夕飯を済ませてから取り組もうかどうか迷ったのですが、皆さんも待っ
ているだろうと思い取り組みました。
課題で無柱空間が要求されたのには、少し意表を突かれた感じです。対策で無柱空間を要求するよう
な大きな室は考えにくいと言っていたからです。美術系のアトリエなら、モデルを中心に周りを取り
囲むような正形の空間は有り得るなと納得しました。意表を突かれたと言っても、無柱なりの処理を
誤らなければ良いと思い直し進めました。この後美術系がどのような影響を与えるやら?
<設計条件>
条件の冒頭に掲げられている文章は、これからの計画を進める上でにとっても大切です。ここに依
頼者の希望が凝縮されています。これを無視して合格はあり得ません。完璧にまとめたのに不合格と
なったと嘆いている人の多くは、気がついていないでしょうが冒頭の前提が守られていないのではと
思います。練習課題ではお飾り的な文章が多い中で、今年の本試験は明確に意志を表明したと思いま
す。これを前提に計画を進める事にしましょう。
1)美術系大学のセミナーハウスで、実習や討論を通じてコミュニケーションを図る場。
2)豊かな自然を満喫することで心身をリフレッシュする場。
3)地域住民との交流の場。
1)は美術系でのでそれなりの配慮が必要ですが、これまで学習してきたセミナーで良いですね。
2)は計画の中に自然を満喫できるように、またリフレッシュできるように配慮した計画にしなければ
成りません。
3)は後の課題を読み進めると、研修部門、共用部門は地域住民に開放して交流深めるので、ゾーニン
グ、動線に深く関わりを持ってきます。
<配置に関わる条件>
課題文には配置に関わる条件が記述されています。冒頭の条件は受験者がこれにどのように回答す
るか投げかけられた物ですが、配置に関わる条件は具体的要求ですから守らなければ必ず減点です。
1)浴室:眺望に配慮する。
2)エントランスホール:周辺の自然景観を取り入れ、・・・
3)食堂:屋外テラスと一体的に利用する。
1)の眺望の良いのは何処?最も有力なのは南面でしょう。裸というプライバシーに考慮すると、2階
南面が妥当。北も有り得るが、見下げられるので樹林からの目線が気になる。
2)は、敷地条件上南からのアプローチになるため、周囲の自然環境を取り入れは南が主体となる。
この条件をメインに考えれば、ラウンジは南に面した位置が最適だろう。
(E&Aの案は、周囲の自然環境より、次に続く明るく開放的な空間に重きを置いて、吹抜けと一体
となった大空間をイメージを先行させた。)
3)は、テラスとの条件や周辺環境から南に面した位置は外せない。この条件から位置取りが始まると
言っても良いだろう。
4)課題文で具体的に指示はないが、用途上位置取りを要求しているものが有ります。アトリエを考え
た時、北向きの安定した光が必須ではないでしょうか。
<面積の適宜>
要求室のほとんどの面積が適宜となってます。構造も設備も回答者任せとなっており、より自由な
課題でした。回答する上で自由すぎるのは結構面倒なことで、真に理解していないと進めづらい所が
あります。特に面積はこれから進める計画の基となる物ですから、曖昧なまま進めると方向が定まら
無くなります。実務では参考になる資料を調べて進めますが、試験ではそうはいきません。
根拠となる数値を知っていれば良いですが、知っていなくても自分なりに仮定しなければ先に進みま
せん。まぁ根拠といっても幅のあるアバウトな数字ですから確定した物ではありません。一旦設定し
た数値には自信を持って進みましょう。元々適宜ですから神経をすり減らすことは有りません。計画
を進める上で不都合が有れば変えれば良いのです。
<計画に当たっての留意点>
ここでは計画に当たっての具体的指示を示しているので、冒頭の条件より把握しやすい。冒頭の条
件を補完した指示なんだろう。やはり気をつけたいのは、決まり文句的な条件より、この課題ならで
はの条件だ。
1)勾配屋根の形状を活かした室内空間。
2)自然採光及び自然通風を積極的に取り入れる。
3)日射の遮蔽にも配慮する。
1)は、こしないと駄目というような正解が有るわけではない。回答者なりに答え、それが理にかなっ
ているかどうかの問題です。(E&Aは、勾配屋根の懐を活かした大空間を演出しました。)
2)は、外周部に面した室には大きな開口を採ると共に、中央部には開閉式トップライトを設けて1)の
空間をより豊かなものにしました。
3)は、日射の遮蔽を必要とするものは、夏場の朝日や西日などの高度の低い日射です。これら夏場の
強い日差しは、北面に注ぎます。特にアトリエにおいての日射はタブーですので、遮蔽壁を設けま
した。その他、ルーバーなども有効と思います。
<建蔽率と上限床面積>
最初の構想の段階で押さえなければならないのが面積関係です。今回は建坪率60%でした。やは
り60%の指定は曲者ですね。更に建坪率と関わりのあるバルコニーを要求していました。グリッド
の中に組み込んだバルコニーだと忘れることはないと思いますが、突き出しのバルコニーは要注意で
す。
床面積も例年になく小規模の課題になりました。更に吹抜けの要求もあり無柱空間もありでで、面積
的には内容の濃い課題でした。
<惑わせた課題文>
自由度が高く、明確な要求が示された今年の課題の中で、1つ惑わせた文章が有った。屋外テラス
の条件で、地上又は1階の屋上と位置取りの条件が示された。2階建てなので、何にも書かなくても
地上又は2階にになるのに、わざわざ書いてあると言うことはと変に邪推してしまった。
屋外テラスが食堂と関連づけられているので、なお影響が大きい。冷静に計画を立てる心積もりで当
たれば、地域住民が利用するのはセミナー部門とエントランスホールや食堂に限られるから、地域住
民が利用するのは1階とまとめ、わざわざ苦労するであろう2階になんて考えることもない。しかし、
これが受験者心理という物だろうか。計画を立てるより、つい答えを探るような動きをしてしまった。
最初の構想の段階で大きなロスをしてしまった。
こうして「E&A」としてまとめたのが、エスキスでありCAD図です。
問題も有りますが、大きくは課題の要求から逸れていない及第点と思っています。
<反省点>
1)計画に正解が有るかのごとく、答えを探しに行ったこと。
2)アトリエ準備室を忘れて、あわてて設けたこと。
3)エスキス段階で、もう少し時間をかけて細部まで詰め無かったこと。
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読者のみなさも突っ込みどころはいっぱい有ると思います。
突っ込んでいただければ、ボケずにまじめに答えます。
どんどん突っ込んで下さい。
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