待ちに待った合格発表が一昨日19日に有りました。合格した人には「合格おめでとう!」とお祝い
の言葉をお贈りします。一方、残念ながら不合格となった方々は、何故不合格となったか各自検証しな
ければなりませんね。
今年の課題も縛りも少なく、皆さんも何らかの形でまとめ上げ未完の人は少なかったように感じます。
でも、誰もが合格の確信を持てないまま、今日まで悶々と過ごされたのではないでしょうか。それは、
試験元から「合格の基準等」が発表されていますが、合格基準が今一つハッキリしないからでしょう。
しかし、建築設計の性格からして具体的には明示しにくいことも理解できます。ですから、試験元から
発表される「標準解答例」から読み解くしかないですね。
【課題の傾向】
年々設計に自由度が広がってきています。これは新試験制度が目指してきた事ですから今後とも続く
でしょう。適宜という面積指定は結構厄介なもので、確信を持てないと不安になり計画が揺れ動く物で
す。少なくとも代表的な室は、標準的な面積を把握しておくことが重要になります。
しかし、例えば会議室は◯〜◯u/人とか、浴室は△〜△uと知識が有ったとしても、その数値に振
り回されないようにしましょう。標準値より少々少なくてもオーバーしても、気にする必要は全くない
です。貴方の方針で決めた面積が正解です。標準より広ければ、それは「ゆ・と・り」で有り、狭けれ
ば「コ・パ・ク・ト」なのです。適宜とはそう言う物で、貴方に裁量を任されているのです。
今年の課題は特に、敷地条件から室の配置を判断させることが際だっていました。湖畔に面した南側
が圧倒的に良い条件でしたが、物理的に全ての室を南面させることは不可能であり、計画に当たっては
優先室の選択により全く違った案に成り得るものでした。まさに回答案は1つじゃないよと示したもの
でしょう。これも、面積や位置指定などで雁字搦め(がんじからめ)で、まるでパズルと言われた旧試
験の改善点の1つでしょう。だから、この傾向は今後とも続くと考えた方がいいですね。
実務では良くあることですが、漠然とした要求や過大な要求もあります。そのときは建築主の要望を
斟酌(しんしゃく)して、計画の意図を説明して納得してもらう必要があります。納得を得られなけれ
ば、信頼を失うことに成るでしょう。計画の要点は、まさに説得の言葉と考えて良いでしょう。依頼者
も要望と違っても、納得できるだけの理由や要望に代わる新たな提案が有れば満足してもらえます。
設計製図の試験がより実務に近づいて来たと言えるでしょう。試験制度が変わってきたので対策も変
えなければ成りません。これまで受験指導校などでは、「試験は実務と違う。頭を切り換えて取り組む
ように。」と指導して来たように思います。この指導も転換期に来ていると思います。マニュアル化し
た指導、採点評価では限界ではないでしょうか。「ゾーニング、動線」を金科玉条のように強く言いす
ぎ、受験者に融通を与えず大局的判断を失わせてはいないでしょうか。
【標準解答例から見えるもの】
標準解答例を発表するに当たって、試験元が「標準解答例の公表について」を掲載しています。
これは重要なことで、決して模範回答例ではないと言うことです。
標準解答例で表示された事を全てOKと考えて、今後の計画の参考にするととんでも無いことになって
しまいます。減点個所もいくつか見られるが、資格を与えても良いレベルと考えて下さい。
ただ、残念なことに、どの点が減点とは一切発表されていませんので、私たちは推測するだけです。
でも、この部分は−2点とか−5点とか細部の減点を気にしても意味のないことのように思われます。
たとえ全ての要望に添っていなくても、全体にまとまっていれば合格と言うことです。
それでは、採点官の主観で決まるのか?と疑問に思われるかもしれません。或る程度の基準は、採点の
ポイントとして発表されていますが、判断は採点官の判断に委ねれていると思います。そうです、主観
で判断されると考えた方が良いでしょう。だからこそ、説得力のある計画が重要なのです。素人さ丸出
しでは合格できないと言うことです。
今年不合格と成られた方も、それなりに努力をされたと思います。指導校のここは−○点、ここも−○
点、合計−○○点、全体評価Cと、減点の積算の指導の中で頑張ってきたのは、何かが違うと言うこと
でしょう。受験者の中で、「ここの違反は難点減点ですか?」と点数ばかり気にする人がいます。こう
いう取り組みの人は大抵が不合格です。建築を設計する前にすでに受け身になっています。
料理人が食材を前にして、今日はどのような料理で客を喜ばせようかと思案する様は、建築にも通じる
ものがあります。課題(材料)を前にして、どのような建物(料理)にしようか想像する。同じですよ
ね。
料理人とて、いきなり客の前仁尾出るわけではありません。長年の修行の末に、親方が客の前に出して
大丈夫か試して送り出す。親方が、味付け−△点、盛りつけ−◯点なんて評価しますか?出来は全体で
判断するものでしょう。
受験者の皆さんも修行を重ねての受験です。もし、調理(計画)の基本が身に付いていないようなら、
基本から学んで下さい。そして、他人の術を盗んで下さい。料理人は評判の店に食しに出かけるものだ
そうです。そして、出される料理から何かを感じ、それを試してみるそうです。何点減点なんて気にす
るより、外に出て建物を見ようではありませんか。そして、気に入った部分を図面にして見ようでは有
りませんか。
資格試験は制限時間内に完成が条件です。その期間が実務と違い極端に短い。その意味では、試験は
実務と違うと言えます。ですから、短い時間だから計画を立てる流れに無駄はできません。一連の流れ
しっかり身につけましょう。
@設計条件把握 A敷地周辺状況の把握 B敷地規模の把握 C敷地状況からアプローチ計画 D外部
の「その他の施設」位置取り E「その他の施設」と部門の相関関係 F大まかなゾーン構想 G全体
の面積チェック H要求室の面積想定 I要求室の貼り付け
制限時間無いと言えば、作図力は無視できません。作図力は或る程度枚数をこなすより近道はないで
しょう。枚数をこなす内に、いろいろ試して自分なりの作図短縮方法を身につけて下さい。枚数をこな
すという点では指導校の役割は一定の評価はできますね。
【標準解答例@の感想】
●解答例@の印象は、課題条件に素直に進めた案に感じられます。西側隣地側に管理部門等をまとめ、
テラスや浴室を景観条件の良い南側へ配置しています。
厨房を管理部門と結びつけています。そのためには駐車場をセパレートしていますね。サービス駐車
場を奥まった位置に設置しているので、当初心配していた来客が惑う事はなさそうです。事務所は管
理部門から分離しています。これはこれでOKですね。何たって2,3人の小規模事務所だし、受付
として来館者と接しなければ成りません。これを無理して管理部門に組み込まなければと思うのは、
全体のバランスを壊してしまうことになります。
●この課題の特徴の一つであるエントランスホールは、やや小振りなスペースで中央のラウンジが落ち
着きのない空間となっています。しかし、これとて優劣の問題で、あえて減点とするようなものでは
無いでしょう。
●アトリエを南に持ってきましたね。本来ならアトリエを南に設け、更に大きな開口を設けるなんてア
ウトでしょう。しかし、今年の課題の発表に美術系の事は事前に示されていませんでした。従って、
この点に関しては不問になったものと思います。これから資格を得ようとする人に、いきなり全ての
設計要件を満足させるのを問うのは酷だからです。
実務でも初めて体験するような物件には、相当の検討期間を持ちます。いきなりでは少し酷ですね。
もし、今年の課題が事前に「美術学校のセミナーハウス」と発表していれば、この計画はアウトでし
ょう。どう取り繕っても、建築依頼者が唖然としてしまいます。「アンタ!素人か!」ってね。
●2階はツィンコリーダータイプで整然とまとめてあります。階による部門分けで素直な形ですね。
●構造は、7×6の等スパンで無理のない構造に見えます。強いて言えば、小梁の架け方はRC壁の下
設けたいものですね。
●設備は計画の要点が発表されていないので、ハッキリとは分からないが1階の設備機械室が小さいな
ぁと思っていたら、2階にアトリエ用の設備機械室が設けられていたので納得です。1階の機械室は、
浴室の浄化装置、給水設備がメインと言うことかな?2階の浴室とは少し離れているが。
新試験制度になり、設備は最適な方法を自分で設定できるので、計画の自由度は格段に上がったと思
います。設備を是面だけで言い表すことは難しく、計画の要点で如何に説明するかが重要になってき
ます。計画に沿っていない、単なる概念の記述では駄目でしょうね。
【標準解答例Aの感想】
●解答例Aは、まず断面図が目に入ってきました。「2つの勾配屋根を持つセミナーハウス」って題が
付きそうな感じです。楽しみを持ちつつ平面に目を移すと、やや難解なプランが展開してます。直ぐ
には理解しがたい光庭が設けられ、( )書きで外部とある。断面と言い、中央の光庭と言い、何か
これまでの解答例とは違う計画が展開しています。2階に目を移すと、ルーフバルコニーに吹き抜け
が飛び込んできました。これは最初から2つの屋根を意識して進めた計画だと確信しました。次に感
じたのが、これで旨く計画されているのだろうかとの疑問です。
●改めて1階に目を移すと、名仮名kエントランスホールが解りづらい。課題分では、エントランスホ
ールはラウンジや展示コーナーなどを含んだ大空間を条件としてたが、ラウンジも展示室もエントラ
ンスホールから独立した空間のように取り扱っている。また、中央にエントランスホールに隣接して
光庭が大きく占めている。そのことが最初解り辛くしていた。
北側に研修部門と納得しかけたら、宿泊部門の浴室が続いている。ぬっ???アトリエは???
アトリエは2階に有った。・・・ずいぶん思い切ったプランを立てたものだと、動線が心配になって
眺めていると、階段を旨く使いそんなに無茶はしていない。でも、こんなに複雑な回答はどこから導
き出される?時間的に無理が出てこないか心配になってきた。
●この計画は、最初に建物のフォルムイメージが先行して組み立てられたものであろう。そのためには
少し強引でも(少々減点をもらっても)全体が建物として建物としてまとまり、新しい提案が感じら
れたらOKとの試験元のメッセージでは無いだろうか。
Aの計画の方が遙かに面白い。日常とは違った環境を提供する施設として十分有り得るし、実務的に
感じる。ただ、時間内に仕上げるには、以前に同種の建物を経験していたとか事前の準備が無いと納
まらない気がする。来年からこの案に触発されて、結局は収拾がつかなくなることを心配する。
●構造は、RC像としては長大スパンの6×10を採用している。そのことについては問題ないのだが
左の屋根はRCの曲がり梁だし、棟に小梁がほしいと感じるが構造一級建築士の意見を伺いたい。
遣ってやれないことは無いのが昨今の構造だ。こういうところをどう評価するかは採点元に聞いてみ
たい。
●設備は、解答例@と同様に計画の要点を見ないと解らないが、アトリエへのDSや、各所のPSなど
計画すべき項目は心得ている。ただ、PSは大梁をまたがっており、実質スペースが問題だ。
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◆試験結果をどう見るか?
平成25年度設計製図試験の合格者は、4,014名と発表されました。製図受験者の40.8%の合格
者です。新試験制度になって、41.2%、41.8%、40.7%、41.7%、10.8% と約40%強の合格率が続いて
います。
この傾向はしばらく続くでしょう。
H21 T:41.2% U:25.8% V:23.0% W:10.0%
H22 T:41.8% U:27.8% V:23.5% W: 6.9%
H23 T:40.7% U:30.5% V:18.1% W:10.7%
H24 T:41.7% U:27.9% V:18.2% W:12.2%
H25 T:40.8% U:27.3% V:19.2% W:12.7%
【合格者の属性】
試験元は合格者の属性を発表していますが、このデーターは極端に差がでる性質のものではありま
せん。要は貴方自身の問題だから、このデーターに左右されるものではないですね。
1.学歴・資格別
昨年とは大きな変化は見られませんが、通してみると課題により有利に働いた年とかが分かりそう
です。
H21 大学70.3% 2級建築士19.2% 各種学校6.4% 建築設備士1.2% その他2.9%
H22 大学67.9% 2級建築士21.7% 各種学校6.3% 建築設備士0.9% その他3.2%
H23 大学67.6% 2級建築士20.9% 各種学校6.7% 建築設備士1.4% その他3.4%
H24 大学68.7% 2級建築士20.9% 各種学校6.7% 建築設備士0.7% その他3.0%
H25 大学68.3% 2級建築士21.1% 各種学校6.6% 建築設備士0.8% その他3.2%
2.職域別
大きな変化はありませんが、官公庁が増加傾向にあることと、その他が現象傾向にあります。
普段のRC造等の経験の差が影響したのかも知れません。
H21 設計事務所35.8% 建設業33.3% プレハブ会社8.9% 官公庁5.8% その他16.2%
H22 設計事務所34.0% 建設業33.9% プレハブ会社8.6% 官公庁7.5% その他16.0%
H23 設計事務所34.5% 建設業34.1% プレハブ会社7.5% 官公庁7.6% その他16.3%
H24 設計事務所37.6% 建設業32.4% プレハブ会社7.0% 官公庁7.7% その他15.3%
H25 設計事務所36.4% 建設業33.8% プレハブ会社7.9% 官公庁8.2% その他13.7%
3.職務内容別
差ほど目立った変化は有りません。今後もこの水準を維持しそうです。傾向として読めるのは構造
従事者の増加です。
H21 設計46.7% 現場17.2% 監理6.6% 構造6.1% その他23.4%
H22 設計43.4% 現場17.7% 監理7.2% 構造6.8% その他24.9%
H23 設計42.8% 現場17.9% 監理7.4% 構造6.3% その他25.6%
H24 設計45.4% 現場16.3% 管理7.1% 構造7.8% その他23.4%
H25 設計44.1% 現場16.7% 管理8.0% 構造8.3% その他22.9%
4.年齢別
35〜39歳が減少傾向にあります。それに比べ40歳以上の年々伸びています。中堅がんばれ!
H21 24〜26歳14.8% 27〜29歳23.7% 30〜34歳32.8% 35〜39歳18.1% 40歳以上10.6%
H22 24〜26歳16.7% 27〜29歳23.4% 30〜34歳30.1% 35〜39歳18.2% 40歳以上11.6%
H23 24〜26歳14.8% 27〜29歳22.9% 30〜34歳30.7% 35〜39歳19.1% 40歳以上12.5%
H24 24〜26歳15.6% 27〜29歳26.3% 30〜34歳27.5% 35〜39歳17.6% 40歳以上13.0%
H25 24〜26歳15.3% 27〜29歳25.2% 30〜34歳28.0% 35〜39歳16.3% 40歳以上15.2%
5.男女別
女性の社会進出が叫ばれています。建築業界への進出が進めば、30%の大台も間近でしょう。
H21 男性78.6% 女性21.4%
H22 男性77.4% 女性22.6%
H23 男性78.1% 女性21.9%
H24 男性76.6% 女性23.4%
H25 男性76.4% 女性23.6%
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【採点のポイント】
試験元は、「採点のポイント」を下記の通り発表しています。
(1)空間構成
@ 建築物の配置計画
A ゾーニング・動線計画
B 要求室等の計画
C 建築物の立体構成等
(2)意匠・建築計画
@ 要求室の機能性・快適性等
A 図面表現等
(3)構造計画
@ 構造種別、架構形式およびスパン割り等の計画
A 梁伏図及び部材の断面寸法等
(4)設備計画
@ アトリエにおける空調方式、空調機の設置位置および吹出口・吸込口の計画
A 建物の省エネルギーの計画
B 受変電設備、空調室外機及び浴室用の給湯・ろ過設備の計画
(5)設計条件・要求図面等に対する重大な不適合
@「要求図面のうち1面以上欠けるもの」、「計画の要点等が完成されていないもの」又は、
「面積表が完成されていないもの」
A 地上2階建てでないもの
B 図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)
C「建築面積が1,050u以下でないもの」又は「床面積の合計が1,500 m2以上、1,800 m2以下でない
もの」
D 次の要求室・施設等のいずれかが計画されていないもの
セミナー室A、セミナー室B、セミナー室C、アトリエ、和室、宿泊室A(6室)、宿泊室B
(2室)、宿泊室C(2室)、浴室、エントランスホール、食堂、事務室、設備スペース、
エレベーター、便所(共用部分に計画されていない)
一般開架スペース、自動開架スペース、新聞・雑誌コーナー、サービスカウンター、即諸室、
小ホール、展示ギャラリー、会議室、エントランスホール、カフェ、事務室、作業室、
設備スペース、エレベーター、便所
E その他設計条件を著しく逸脱しているもの
こうして見ると、設備の項目以外、例年と大きくは変わっていません。
建物用途が異なるのだから、当然要求してくるものも違ってきます。
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【合格するには】
1番でなくても2番で無くても良いのです。上位4割に入るれば良いのです。では、具体的にどのよう
に対応すれば良かったのか?その答えは、
1.受験者がまず4割に残るには、上記の(5)設計条件・要求図面等に対する重大な不適合を避ける
こと。これをクリアーすれば、7割方生き残る。
(1) 完成させましょう。
(2) 要求階数は守りましょう。
(3) 要求規模で計画しましょう。
(4) 要求した室は所定のところに計画しましょう。
(5) 建築的に成立させましょう。
(6) 建築主の希望はできるだけ守ってね。
(7) (6)が守れない部分は説明して納得させてね。
採点のポイントは、依頼主からすると至極当然のことですね。約束の納期は守らないは、要求した
ことは無視するはでは、計画内容の善し悪し以前に信頼関係が築けません。もし、要望と違うこと
をしたならば、納得するだけの理由を述べてね。それでなければ、合格は無理でしょう。
試験は相対試験と心得るべし、易しい課題と感じたら細部まで密に丁寧に書き上げ、難しい課題で
は兎に角書き上げること。
2.(1) 空間の構成は、すっきりシンプルにまとめよう。
具体的には、柱芯(通り芯)に間仕切り壁を配置し、廊下を真っ直ぐに通すことを絶えず意識する
ことです。間仕切り壁が柱から外れ、柱をまたぐ室はすっきりしないし、使い勝手も悪い。廊下の
凹凸は、プランが整理されていないだけでなく、最も素人ぽさを感じさせます。建築士の資格試験
で素人ぽさを感じさせるようでは合格はおぼつかないでしょう。
3.(2) 意匠・建築計画は、要求室の機能や役割をしっかり理解しよう。これは重要なことで、対象と
なる建物の中身を知らずして計画などできません。だからこそ、実物の建物の見学が重要なのです。
中身をよく理解していれば取捨選択の判断ができ、悩むことも少なくなるでしょう。でも、指導校
での指導は、カルキュウラムの都合上、深く時間を割いて説明をしていないような気がします。
4.(3) 構造計画は、スパンや階高など構造計算に先立ち設計者が先行して決めることになる。そのた
めに、構造の概念は設計者として知っておかなければならない事柄です。
構造面での要求に耐力壁が良く有るが、要求された以上反映しなければ減点だろう。ただ、耐力
壁を設けるためにプランを歪めることがないように注意したい。下手な耐力壁なら、減点も覚悟し
て純ラーメンとした方がましだろう。(減点を恐れるあまりに減点を貰わないように注意)
作図については、毎年2通りの伏図の表記が示されている。点線表記と実線表記とですが、この
どちらでも良いのか、点差が有るのかの解説はこれまでに一切無い。実線と点線とでは作図スピー
ドに明らかに差が出てくるので、試験元はハッキリさせるべきだろう。受験者にとっては、採点基
準がハッキリしない以上、手間は掛かるが点線表記が無難だろう。しかし、完成が絶対なので、作
図の進行状況を見て、減点覚悟で実線表記に切り替えることも大事なことだ。
5.(4) 設備計画は、構造計画と同様にスペースなど先行して決めなければならない。実施設計などで
修正が迫られても、根本からやり直しにならないように設備の概念は知っておかなければならない。
昨年の採点のポイントに設備スペース及び設備シャフトの計画が合ったが、今回のポイントには無
い。それは、昨年の空調設備が空冷ヒートポンプマルチ型エアコンの指定が有ったため、その特徴
である大きな空調用PSを認識しているかがポイントになったのであろう。このように、設備につ
いては施設の用途に適したものが問われる。
今年の設備は具体的に方式の指示は無かったが、アトリエのように天井の高い室の空調方式を述
べさせるなど、用途に応じた設備方式とその処理を試しています。設備方式はどのような課題にも
対応できるように、事前に一通りのポイントを掴んでいなくては対応できないですね。
6.計画の要点は、上記の採点のポイントには特別に記述されていませんが、図面とセットで各項目を
考えて下さい。図面で表しきれない部分や、計画を補完(言い訳)する重要な役目を持っているの
で、有効に利用しましょう。また、要点だけで採点される項目も有りますから、合否に大きく影響
します。指導校が用意したマニュアル化した文章を書き並べるのでなく、自分自身の言葉で記述す
る訓練が必要になります。
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【失敗した人へのアドバイス】
1.付け刃的な即興の学習でなかったか?
建物の用途や学習は課題が決まってからだが、建築計画はそれ以前からでもできる。H25年に取
り組んだ課題を時間を気にせずにもう一度取り組んでみたら、計画のコツが掴める。玄人っぽい図
面にするには、それなりに時間を掛け練習が要る。
2.日頃から建物に興味を持っていたか?
建築士の資格を得ようとする者が、日頃建物と遠い存在でいても合格はおぼつかない。話題の建物
を見聞きし、雑誌やWeb情報に積極的に接する。(当サイトを利用するのも1つ。)
3.自分なりに納得のいく計画をした事が有るか?
練習課題を数多くこなすのも大事だが、未消化のまま次から次へと課題を繰り返しても、エスキス
のコツは掴めない。じっくりと取り組んでみよう。
4.指導校に入学したから合格できると安易な考えでなかったか?
指導校に期待できるのは、練習の機会や場所だ。結局は自分自身で悩んで解決しなくては。
5.受け身の立場で試験に臨まなかったか?
こうすれば減点だろうか、あぁしなくてはダメなんだろうかと答えを探そうとしない。有りもしな
いトラップを探したり、受け身では正しい判断はできない。試験は貴方の力の発表の場だ。自身を
持って回答すればいい。
6.自分の力を過信して無かったか?
優秀な計画を目指し、要求されてもいない事柄をこだわりすぎて時間オーバーとなっては元も子も
ない。上記の【合格するには】の通り、平凡でオーソドックスな発想で臨め。
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◆「E&A」の一級建築士サポートは、広告収入でお送りしています。トップに戻り「アフリエイト」
をご利用していただくと有り難いです。
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