~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H24.10.11記》
■ 平成24年度設計製図試験対策−7
前回対策ー6をお送りしてから早1月近くが経過しようとしています。この間長期視察やE&A協力者
の添削に追われて、気が付けば来週は設計製図の試験という状況になりました。
今日は、最後に皆さんが陥りやすい中点を中心に進めたいと思います。
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【設計製図試験を理解する】
実務ではクライアントの要求に対し、期待以上のものを提供しようと時間を惜しまずに取り組んでいる
と思う。そんじょそこらとは一味違う計画を提案しようと意気込むものだ。
だが、試験ではそんな事は臨んでない。クライアント対して責任有る技量を有しているかの判定試験だ。
勿論、良い計画をするに越したことはないが、日本の試験制度では短時間に計画しなければならない所
が特徴だ。だから、そんじょそこらの計画が基準であることを理解して欲しい。
【基本に忠実に】
試験だからと言って緊張して、いつもと違うやり方をする人がいる。課題文に過敏になりすぎ、深読み
をしてしまう。いつの間にか、解答はこんなじゃないとダメかな?って正解を追い求めるようになって
しまい、挙げ句の果てに、いつもと違う手順で進めて混乱してしまう。
試験では解答を探し求めるのでなく、課題条件に従って自ら回答(計画)するのだ。
基本とは何か?それは、E&Aがお送りした「設計製図の進め方−1〜4」を読み返して貰いたい。特
に敷地周辺状況から始まるアプローチは絶対手順と思って貰っても良い。それによって大まかなゾーニ
ングが決まり、時間を掛けずに自動的に内部プランへと進むことが出来る。
【ボリュームチェックで構想を立てる】
課題文を読んで、まず構想を立てます。
1.アプローチ構想 → 敷地周辺状況から想定し、大まかな利用者ゾーンと管理ゾーンにつながる。
2.建物階構想 → その他の施設から建物輪郭が想定される。
→ ボリュームから階面積が算定され、部門振り分けが想定される。
これがセオリー通りの構想立てですが、中にはこれらの手順を省いてイメージ先行で進める人が見られ
る。これらの人は実務に長けた人によく見られ、試験を理解していないためだろう。
広い敷地ならこれでも十分通用するだろうが、狭い敷地でなおかつ短時間で計画を終えなければならな
い試験では不向きだ。壺にはまると素晴らしい計画を立てる反面、壺を外すと強引な計画になり安定性
が得られない。イメージする事は計画を助けるが、イメージ重視やこだわりが強すぎると良い結果は得
られないので注意が必要だ。
【人・物の流れを意識する】
来館者、施設関係者、本の流れを意識する。それが動線計画となってくる。ここで注意したいのは、動
線計画というと、異種動線の交差を避けるや、長い動線や曲がりくねった動線は避けるを思い浮かべる
だろうが、動線は一本の線でなく、量を持った流れであることも理解して欲しい。
入館のためのエントランスは、来館者が全て行き来するところであり、広い空間が必要になる。当たり
前のことを何を言っているとお思いかも知れないが、皆さんの計画を見ていると具体的に面積表示があ
る所要室の方が気になり、エントランスが後回しになり、最後に狭いエントランスしか残されなかった
と言う計画が良く見られる。
課題で要求された面積をきっちり守ることと、エントランスらしさを造り出すこととどちらが大事かと
問われれば、勿論エントランスだろう。それは室の面積と動線計画とを天秤に掛ければ、動線計画の方
がウエイトが思いのと同じだからだ。廊下やホールの扱いも同じ事だ。
動線計画はスペースだけの問題ではない。移動距離も問題になる。多くの人が行き来する室を建物の奥
に配置する計画は良くない。大勢の人が利用する室は出来るだけエントランスの近くには位置し、移動
距離を短くしたい。そのことで、無駄な空間も避けることが出来る。
【部門の中の共用部】
建物の中の共用部と専用部の認識は有ると思う。「対策ー3」では、共用部を車のギアのニュートラル
に例えて説明した。これで大きな意味でゾーニングが楽になったと思う。
この考えはそれぞれの部門でも言えることなのだ。今年の課題の図書館は、室として独立していなくて
もコーナーとして設けられる事が多い。それぞれのコーナーを結ぶのに通路が必要になってくる。この
通路は図書部門の共用部なのだ。
図書室を1つの建物と見て、共用部的コーナー、専用部的コーナーを区別して考えればゾーニングは作
りやすくなる。
共用部的コーナー(室):出入口、リファレンス、ブラウジング、展示室、WC等
専用部的コーナー(室):閲覧室、学習室、視聴覚室、資料室等
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