~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H24.09.17記》

■ 平成24年度設計製図試験対策−6


前回、前々回と用途面から注意点を探ったが、設備、構造面から見てみよう。 設備や構造は計画プランもさることながら、計画の要点の記述に大きく関わってくる。 「E&A」では、昨年は東日本大震災が起こった年でもあり、地震に続いて災害をもたらした原発事故 を振り返り、構造の地震対策だけでなく、設備面での耐震の必要性を揚げた。 案の定、記述記載で次のような問いが有った。 B地震等の災害に対する設備計画について、「設備の 損傷防止」、「停電」及び「断水」のうちから二つ選択し、対応策を記述すること(停電や断水は3日 程度を想定する。) 「E&A」のサポートページをご覧になっていた受検者は、このことを取り上げたので、少しは参考に なったと思う。このように建築士の試験は、その年の社会情勢を反映させることが多い。そう言う面か ら、今年の注意事項を探ってみた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【省エネルギー】 今年の話題は何て言っても、原発停止に伴う電力不足からくる「省エネ、省電力」だろう。 建築関連の省エネは、「次世代省エネルギー基準」が1999年に地球温暖化の目的で策定されている。 これは住宅に限っての基準で、しかも努力目標のために世界から見ると後進国扱いであった。そこに脱 原発の動きがあり、より省エネの必要性が叫ばれるようになった。そこで、この基準を2020年まで に新築の全ての建築物に義務化として適応するよう方針が出たところだ。 この動きに伴って、試験の記述も松江年付いての記述を要求する可能性が高いので、次の文章や図から 必要な対策を頭に入れておくと記述しやすいだろう。 ・建築物の省エネ基準について 現在の次世代省エネルギー基準は、住宅の断熱に関してが主な内容であったが、改正が予想される基準 は、上記の図でも分かるように断熱や窓だけでなく、設備機器に対する省エネも義務化される。 【創エネルギー】 これも昨年から継続して話題になっていることだ。原発に代わる新エネルギーの創設が広く叫ばれてい る。創エネルギーとしては地熱発電や風力発電、潮流発電など大規模な物が検討されているが、建築で 対応できる創エネルギーは、太陽光発電を始め燃料電池(水素と酸素などの科学反応で電気エネルギー を造り出す物)やコージェネレーション(ガスを燃やし電気を造り、廃熱でお湯も沸かす。H23年度 設備で詳しく解説)等が考えられる。 設備方式もこれからの流れを掴み、方式を絞った上で試験に臨まれると良いだろう。 【作図に設備を反映】 設備面での図面への反映は、平面図に設備シャフト(PS、DS、EPS)の記入を、更に設備設計に 応じた設備スペースを平面及び断面に要求していた。これは要求事項なので必ず適正に記入しなければ ならないが、直接要求されていない計画の要点の記述と作図との食い違いにも気を付けたい。 例えば、次のような例だ。 @単一ダクト方式と記述しながら、天井と梁との間に横引きダクトスペースが無い。 A電気室から遠くに離れた位置にEPSが設けられている。 B天井カセットタイプの空調としておきながら、屋外機の記入がない。空調用PS(冷媒管用)が無い。 C環境負荷の低減で、要点記述は色々対策を記述しておきながら、図面に全く反映されていない。 重要なことは、計画の要点は記入欄を文字で埋めることではない事だ。勿論記述しなければいけないが 記述した内容が図面に反映されなければ、単なるうろ覚えの文章を書き写しただけと思われても仕方が ない。計画の記述は、指導校で教わったマニュアル通りの文章が目立つ。新たに文章を作り出すのは、 短い時間内では困難だろう。少なくとも文書を丸覚えするならば、中身についてもしっかり理解しよう。 そうすれば、作図上の要点は事前に認識し準備ができる。

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◆管理動線と利用者動線の交差について質問を貰った。
 一般的に管理・サービス動線と利用者が交差するのは計画上良くないと指導を受けたと思う。管理動
 線には2通り有ると考えて貰いたい。一つは、建物や機能を維持・管理をしたりする業務で、関係者
 以外立入禁止区域内での動線だ。もう一つは、利用者の利便のためのサービス業務だ。このサービス
 業務は、今年の課題で言えば本の整理や新書や返却書を棚に並べる業務で、立入禁止の図書作業室か
 ら書架までの動線になる。このサービス動線まで交差しては駄目と考えると計画は成り立たない。

 もう一つのケースを考えてみよう。小ホールは規模によっては映像や調光を行うコントロールルーム
 が必要になる。その時コントロールルームへ行く技術者の動線は、利用者と交差しても良いか、駄目
 か?皆さんはどう考えますか。
 分離して専用通路で結ばれるのが理想でしょうが、客席後方に設けられるコントロールルームはホワ
 イエなどに通じる出入口に囲まれ、孤立する例が多い。理想をいつまでも追いかけて変な計画になる
 なら臨機応変に妥協することです。
 この妥協の決断を手助けするのが、実際の建物の例です。数多くの例を見れば、全てが理想通りにな
 っていないのはお解りと思う。理想通りになっていない例を知っていれば、勇気を持って妥協し次に
 進めるのです。
 色んなパターンの課題を経験するのも良いですが、数多くの実例を見ること(書物で可)が計画の手
 助けをすると考えてください。

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