~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H24.08.28記》

■ 平成24年度設計製図試験対策−3


小ホールのある地域図書館の例は、なかなか見つからない。一般的に地域図書館と言われるのは、まず 中央図書館があり、その分館的施設を地域図書館と称している。従って規模も差ほど大きくはなく、本 の貸し出しや閲覧など必要最低限の施設が多い。ホールを伴った施設は中央図書館などで複合施設とし て存在する例が見られる。 尤も、図書館法に地域図書館という分類は見られ無い。有るのは公立図書館と私立図書館の分類だけだ。 では、何故課題で「地域図書館」となったかを考えてみると、昨年の平成11年に図書館法が改正され た。改正の大きな特徴は、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律 の整備に関する法律」に基づいて行われたことだ。従ってこの改正で、地方自治体の権限が強化される。 具体的には、これまで国の基準で一律的に運営されていたのを、地域、住民の意向で効率的、自由度を 高めて運営されるだろう。 課題の地域とは、地方自治や住民主体となった運営・サービスを行える図書館と解せられる。それで有 れば、現時点での参考例は皆無なのかも知れない。でも、上記の法律の流れや、小ホールが有ることを 考えると単なる図書館を予定していないことは想像できる。図書機能と地域住民のサービスをどのよう に融合させるかが狙いとなるだろう。規模的には、一級建築士試験の課題であることを考えると、地方 都市の中央図書館を想像した方が良さそうだ。 注意)現時点での一級建築士試験は、どのように図書機能と住民サービスをどのように融合させるかを    提案させるものでは、決して無い。課題の要求に従って、建築として成立させる事が重要なのだ。    重要なので、何度でも言う! 今回は、具体的に想像される所要室とグループ化について述べていきたい。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆所要室とグループ化 改正図書館法の定義を見てみよう。 「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、 その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設。 図書機能  (1) 図書検索・閲覧:レファレンス、閲覧室、書架  (2) 休息コーナー :ブラウジングコーナー、ロビー  (3) その他学習部門:児童閲覧、視聴覚室、学習室  (4) 対面サービス :受付案内、貸出しコーナー 地域サービス機能  (1) 小ホール、集会室  (2) 展示室 管理機能  (1) 管理・事務部門:事務室、館長室、応接室、図書作業室、職員休憩室、設備室  (2) 地域移動図書館:ブックモビル車庫、ブックモビル書庫 共用(ニュートラル)機能  (1) エントランスホール、廊下  (2) WC 【計画のポイント-1】  計画に於いて重要なことは、異なった種類の動線処理とそれを可能にする諸室のグループ分けにある。 解り易く言えば、 @来館者と裏方的スタッフが入り乱れる建物は良い建物とは言えない。  そのためには、主玄関と、勝手口を切り離して設ける必要がある。これらを明確に区別してこそ良い  計画の第一歩だ。(試験では、基本的な諸室の設定は試験元が行う。) A次に来館者の動くルートとスタッフが動くルートが交わらないことだ。そのためには、来館者が利用  諸室を整理把握することだ。 B次にそれぞれ(来館者・スタッフ)の移動する順序(流れ)を良く掴み、効率の良い流れになるよう  にする事だ。 ※ここで注意したいことは、来館者と交わらないようにするのは裏方的スタッフであり、全てのスタッ  フが交わってはいけないと言うものではない。来館者を直接サポートするスタッフは、来館者と接す  る事でサポートが可能となる。スタッフにも種類があることを認識する事だ。 ※ニュートラルについて少し説明する。  今年の課題では、大きく分けて四つの部門が考えられる。 @図書利用者ゾーン Aその他休養・調査研究・レクレーション・学習ゾーン B小ホール・集会室ゾーン C管理・運営ゾーン 来館者もサービススタッフも裏方スタッフも一ヶ所に止まっているのでなく、目的や役目に応じて建物 を移動する。上に揚げた4つの部門は、それぞれが自動車のミッションのギアと考えるといい。 ローギアからセカンド、サードそしてトップとギアチェンジをするときに、必ずニュートラルにギアを 入れてチェンジする。 それと同じように、建物でも一つのゾーンから別のゾーンに移動する時に、必ず通るニュートラルに当 たる部署を設けることがポイントだ。すなわちエントランスホールや廊下を意識することだ。   主玄関    ┌────┐  ▽ ┌────┐    │Bゾーン│┌──┐│Aゾーン│    │小ホール←→  ←→図書閲覧│     └────┘│EH│└──↑─┘    ┌────┐└┐┌┘┌──↓─┐    │Cゾーン←→││←→Dゾーン│←勝手口    │学習  │ ││ │管理部門│    └────┘ └┘ └────┘  (オートマチック車だから解んな〜ぃ!・・・・・えっ!・・・・ξζδω?)    【計画のポイント-2】 初心者が犯しやすいのは、廊下やホールに諸室が出っ張ったり窪んだりしても平気でいることだ。それ は、与えられた面積を絶対視しているためだろう。諸室の面積は一つの目安であり、文面化はされてい ないが、約〇〇uの場合は±10%増減も可だ。場合(室)によっては、それ以上増減が有っても良い と考える。室の面積よりも整形の廊下やホールを心掛けるべきだろう。    ┌────┐ │    │    │廊│    │    │ │    │    │下└┐    ├────┴┐│    │    │    │    │    │    │    ├────┬┘│    │    │ ┌┘    │    │ │ ││のように廊下を真っ直ぐに通すことを心掛ける。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆図書館法の改正を受けて、佐賀県武雄市は市立図書館の運営をツタヤに依託する計画を発表した。  公共図書館の運営を民間に運営させる案だから、大きな反響を呼んでいる。テレビでも紹介されたので  ご覧になった方もいると思うが、利便性は確実に増すと思う。時代は大きく変わろうとしている。 ◆来週の9/4には学科合格者が発表されます。合格した人は、設計製図試験まで僅かしかに数がありま せんが、頑張ってください。 始めて設計製図を受けられる方のために、協力者の枠を広げましたので、奮って応募してください。 成功の秘訣は、「我武者羅(がむしゃら)さ」ですよ。
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