~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H24.08.17記》
■ 平成24年度設計製図試験対策−2
前回は一般的な設計製図の進め方を紹介したが、今回は課題に沿って進めていきたい。
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◆平成24年度は、新試験制度がスタートして4年目に当たります。当初、新制度での対策は手探り状
態でしたが、3回の試験でその傾向は掴めてきたと思います。
平成24年度課題は下記の通りです。
平成24年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題
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│ 平成24年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題 │
│ │
│ 地域図書館 │
│ (段床形式の小ホールのある施設である。) │
│ │
│ 要求図書 │
│ ●1階平面図兼配置図(縮尺1/200) │
│ ●2階平面図(縮尺1/200) │
│ ●断面図(縮尺1/200) │
│ ●2階梁伏図(縮尺1/200) │
│ ●面積表 │
│ ●計画の要点等 │
│ │
│ (注)要求図面に、図示又は記入するもの │
│ ・主要寸法、室名、床面積 │
│ ・構造種別、架構形式等に応じて必要となる構造要素 │
│ ・柱、梁等の断面寸法 │
│ ・設備スペース、設備シャフトの位置 │
│ ・避難階段に至る歩行距離・歩行経路 等 │
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これが試験元が発表した内容ですが、昨年、一昨年とどう違うのか比較してみよう。
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│ 平成23年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題 │
│ │
│ │
│ 介護老人保健施設 │
│(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。) │
│ │
│ 要求図書 │
│ ●1階平面図兼配置図(縮尺1/200) │
│ ●2階平面図(縮尺1/200) │
│ ●基準階平面図(縮尺1/200) │
│ ●断面図(縮尺1/200) │
│ ●2階梁伏図(縮尺1/200) │
│ ●面積表 │
│ ●計画の要点等 │
│ │
│ (注)要求図面に、図示又は記入するもの │
│ ・主要寸法、室名、床面積 │
│ ・構造種別、架構形式等に応じて必要となる構造要素 │
│ ・柱、梁等の断面寸法 │
│ ・設備スペース、設備シャフトの位置 │
│ ・避難階段に至る歩行距離・歩行経路 等 │
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│ 平成22年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題 │
│ │
│ 小 都 市 に 建 つ 美 術 館 │
│ │
│ 要求図書 │
│ ●平面図兼配置図(縮尺1/200) │
│ ●平面図(縮尺1/200) │
│ ●断面図(縮尺1/200) │
│ ●梁伏図(縮尺1/200) │
│ ●面積表 │
│ ●計画の要点等 │
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│ 平成21年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題 │
│ │
│ │
│ 貸 事 務 所 ビ ル │
│(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸スペースを計画する。)│
│ │
│ 要求図書 │
│ ●1階平面図兼配置図(縮尺1/200) │
│ ●基準階平面図(縮尺1/200) │
│ ●断面図(縮尺1/200) │
│ ●基準階梁伏図(縮尺1/200) │
│ ●面積表 │
│ ●計画の要点等 │
│ │
│ (注)要求図面に新たに図示させるもの │
│ ・耐力壁等の位置、柱・梁等の断面寸法 │
│ ・設備機器等の位置、設備シャフト等の位置 │
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基本的には大きくは違っていないようだ。平成22年は注意事項もなく、あっさりしたものだった
が、24年は23年と全く同じ注意書きになっている。出題形式が定着した感が有る。
課題から見て見よう。今年の課題の地域図書館は、より身近な課題となった。規模の大小はあるだろ
うが、私たちの地域には必ず設けられている施設だからイメージしやすいだろう。ただ、試験としては
単一用途では差が付きにくいので、( )書きで(段床形式の小ホールのある施設である。)が付いて
いる。小ホールの用途よりも「段床形式の」が、今後の学習のポイントだろう。
新設計製図試験は、受験者の負担軽減を計る意味で、複合用途課題から単一用途課題となった。今年
の課題を見ると一見複合課題のようだが、小ホールであれば付属施設の一環と言えるだろう。地域図書
館の概念は近年少しずつ変わってきている。単に閲覧や貸し出しでなく、地域のコミュニティの場の側
面を持つようになってきた。課題を学習するに当たり、現物の図書館を見学することをいつも勧めてい
るが、見学する図書館がいつ頃の物かは重要になってくる。出きれば、最新の図書機能+コミュニティ
機能を持つ施設を見学したい。E&Aもできるだけ参考になる建物を見つけ紹介しようと思う。
技術的には段床の処理がポイントになろう。段差が有ることで空間処理は数段難しくなる。建築設計
の基本である空間認識が試されるところだ。規模的には小ホールなので、小劇場や階段状の教室がイメ
ージされるところだ。
段差があることでの計画上の注意点を少し述べよう。
1.スロープ
2.階高設定
3.スパン
4.無柱空間
5.構造
課題の注意事項に目を向けると、主要寸法、室名、床面積を記入するように指示がある。昨年と同様
課題発表の中で注意点として上げられている。これらは注意深く厳守しよう。
構造に関しては、種別、形式に応じてとあるので、今年も自分で決めることになるだろう。しかし、
一般的に事例の多い種別、形式にすべきだろう。敢えて特別な工法を今から学習することはない。RC
造ラーメン構造をしっかり学習することだ。梁伏図は段床形式の架構表現がポイント。
設備に関しては、設備スペースとシャフトの位置が問われている。方式は与えられるにしても、自分
で決めるにしても、方式に応じたスペースはしっかり把握しておくことだ。まず、一般的な方式を調べ
てみよう。小ホールの扱いは空調計画にも影響してくる。基本的には図書部門と切り離した方式とすべ
きだろう。
計画の要点は、新制度から始まったものだが、4年目となると受験者の皆さんも要領は分かってきた
と思う。当初は、学科と同じように暗記したり、知識を披露したりと随分お門違いな学習をした人もい
ただろう。計画の要点は計画の説明だから、自分の計画と整合性がなければならない。自分の計画の説
明もできないようでは、基本的に設計の資格は与えられない。
日頃から計画に当たって、は意図を持って計画することだ。あーでもない、こーでもないと只並べて
いる内にこーなってしまったでは要点は書けないだろう。逆な言い方をすれば、意図を持って計画すれ
ば、意図したことを書くだけだから、計画の要点はそんなに苦労はしない。とは言っても、最近の人は
仲間内にだけ通じる文章には慣れていても、人に読んで貰う文章は苦手だ。第3者に伝わる文章は多少
の練習が必要だろう。
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