~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H21.7.30記》
■ エスキスの進め方−3
◆<敷地スケールの把握>
課題文を読み、文中の内容をイメージ図としてまとめる。これは前回の進め方−2で紹介したとおり。
ところが、イメージ図を作成するのが苦手な人が多い。
理由は、敷地の大きさとイメージした各室の大きさが一致しないからだ。一致しないと言うよりも、
大きさの認識が弱く、室と室とのつながりだけの機能図の終わるために平面図に発展しないからだ。
┌─────────────────────────────┐
│ 人・車 機能図 │
│ ↓ 駐車場 │
│ 小ホール ←← ENT │
│ ホール→ブラウジングルーム │
│ WC/ ↓ │
│ 返却ポスト ↓ → レファレンス │
│ ↓ ↓ ↓ │
│ 監理部門← 貸出し ← → 閲 覧 │
│ ↓ ↓ / │
│ 移動図書整理室 ←→→ 開架書庫 │
│ ↓ \ / │
│ ブック 作業・修復室 │
│ モビル車庫 │
└─────────────────────────────┘
課題文を読取り後、上の様な機能図をまとめたとしよう。
この機能図では、各室のつながりは分かるが、これでは平面はまとまらない。何故なら各室の大きさ
が反映されていないからだ。
では、どうすれば正しいイメージが湧き、次の平面プランに発展するかと言えば、次のことをお奨め
したい。それは、グリッドスケールのメッシュ架けだ。
Q:グリッドスケール?
A:そう、聞き慣れない言葉と思う。「E&A」が命名した言葉だから誰も知らない言葉だ。
要は、敷地に一定の寸法の網を架け、敷地のスケールや計画建物のスケールを把握しようとする
ものだ。
Q:線なんか引かなくても計算すれば分かるじゃん!
A:メッシュを引くことに意味が有るんだ。まず視覚に訴えることでイメージがしやすい事と、気を
落ち着かせるためだよ。課題文を読んだ後に、儀式みたいに只メッシュを引くだけで気が落ち着
いてくる。(おまじないを信じなさい!)
Q:一定の寸法って1m単位?5m単位?既にエスキス用紙には2m(1/400)単位のメッシュが印刷
されているよ。
A:そうじゃない、mは長さや大きさを計る単位には違いないが、そんなんでは建物のイメージは湧
かないよ。これから計画しようとする建物のグリッド単位だよ。だから、グリッドスケールなん
だ。敷地にグリッドの単位で網を架ける。すなわちグリッドスケールのメッシュを架けだ。
Q:グリッド計画?
A.そうじゃ無い。グリッド計画は建物のイメージが固まってから建物計画をする時に行うが、建物
計画をする以前の、その他の施設のボリューム把握や建物のイメージ造りをし易くするためだ。
Q:メッシュはどのようにして架けるの?
A:まず、メインアプローチ側と反対側の敷地の隅から2mの空きを作り縦横メッシュを引く。
Q:何故、道路と反対側からなの?
A:それは、道路側は駐車場やアプローチ部分等と建物との攻めぎ合いの場所で、建物の境界がファ
ジーになりやすいからだ。道路の反対側はファジーな要素が少なく、建物の境界を決め易いだろ
う。
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a┃│ │ │ │ │ │ │┃
┠┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼┨
7┃│ │ │ │ │ │ │┃
┠┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼┨
7┃│ │ │ │ │ │ │┃
┠┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼┨
7┃│ │ │ │ │ │ │┃
┠┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼┨
7┃│ │ │ │ │ │ │┃
┠┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼┨
7┃│ │ │ │ │ │ │┃
┠┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼┨
2┗┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷┫
2 7 7 7 7 7 7 b
A:敷地いっぱいにメッシュを架けると、7×7のグリッドが一杯現れる。周辺の2mやa、bは敷
地と建物との隙間に当たる。
建物はこのグリッドの数だけ建設可能だが、実際はその他の施設等で敷地が占められるので、建
物の建設可能な範囲はもっと狭まってしまう。
Q:そうか、早めにメッシュ架けをすると、その他の施設等をイメージした段階で建てられる範囲が
分かるって事だ。
A:この時大事なのは、この段階で具体的にその他の施設を計画し寸法出しする事だ。この位あれば
納まるかな?とアバウトな認識のまま先へ進むと、いざ作図と言う時にその他の施設が納まらな
くなり、折角計画した建物を見直さなければならなくなる。→タイムアップで失格に直結。
Q:グリッドスケールのメッシュ架けは、建設可能範囲の把握のため?
A:それだけじゃ無いよ。建物をイメージするのに、漠然とイメージするのと建物の輪郭が有る程度
決まってからイメージするのとどちらが楽かな?
当然建物の輪郭が決まってイメージするのが楽だし、建設可能な範囲には既に建物のグリッドが
想定されているから、内部プランを想定しやすい。アプローチを手始めに、室の必要グリッドを
確保していけばいい。
今までのように、面積の根拠無しに丸や楕円で機能図を書いていたときから比べると、遥かに建
物をイメージしやすいだろう。しかも、イメージが固まった頃には、大方の平面プランも出来上
がっているよ。
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a┃│ │@ │ │ │ │ │┃ @ 広 場 300u
┠┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼┨ A 駐車場 HP-2台+P-7台
7┃│A │ │ │HPHP P P P P P P P┃ B 駐車場 SP-2台
┠┏━━┿━━┳━▽┳━━┳━━┿━━┓┨ C ブックモビル庫 25u →0.5G┐
7┃┃E │ ┃ ┃wc┃ F│G ┃┃ D 整理室 25u →0.5G┴Cに隣接
┠╂──┼──╂──┣━━┛──┼──╂┨ E 小ホール 200u →4G
7┃┃ │ ┃ ┃H │ I│ ┃┃ F ブラウジング 50u →1G
┠┣━━┿━┳┻━━┻━━┳━━┿━━┫┨ G 児童室 50u →1G
7┃┃M │ ┃│ │K ┃ J│ ┃┃ H レファレンス 50u →1G
┠┗━━╋━┻┿━━┿━━┫──┼──┫┨ I 閲覧室 200u →2G
7┃│B ┃CD│ │L ┃ │ ┃┃ J 開架書庫 200u →4G
┠┼──┗━━┿━━┿━━┻━━┿━━┛┨ K 貸出し 100u →2G┐
2┗┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷┫ L 管理部門 100u →2G┴Kに隣接
2 7 7 7 7 7 7 b┃ M 設備室 130u →1.6G
◆<最大建設可能範囲の把握>
道路側のその他の施設(駐車場、駐輪場、広場ど)のスペースを想定し、残った敷地が建設可能な面積と
なる。
建設可能な面積は、先ほど引いたメッシュのグリッド数を数えれば良い。
今年の課題は2階形式なので、延べ面積−建設可能な面積(≒1階面積)=2階面積となる。
ただ、今年の場合は階高が異なるであろう小ホールの扱いで色んなパターンが考えられるが、条件に
より立体的により良いケースを判断しなければならない。
Aパターン
├─────┤
│ │
├─────┼───┤
駐車場 │ │小 │
─────┴─────┤ホール├───GL
└───┘
Bパターン
├────┤
├────┤ │
│ │小ホール│
├────┴────┤
駐車場 │ │
─────┴─────────┴───GL
Cパターン
├────────┬────┤
│ │ 小 │
├───┬────┤ホール │
駐車場│ │ │
──────┴────┴────┴───GL
※ アプローチイメージ、建設可能範囲、建物イメージなどを考慮しながら、各階平面プランに入る前に
建物構想を寝る。おっと!まだ寝ちゃダメ! 構想を練るのだ!
今日はここまでとします。ファ〜ァ・・・
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◆「E&A」は、一級建築士を目指す皆さんを応援します。少しずつ更新しますからお楽しみに。
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