∞∞∞∞■一級建築士設計製図試験ー回答例∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞《H24.10.20記》




 9/14の試験当日には、「E&A」のエスキス回答例を速報でお送りしましたが、今日は、「計画
の要点」と残りの断面図、梁伏図を含めCAD図での計画案をお送りします。

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◆計画の要点

 本試験での要求に受験者はしっかりと回答しなければなりません。計画の要点は、それぞれの計画を
図面に表れないものも含め、言葉で回答することです。そのためには、この課題で試験元(依頼主)は
何を欲しているかを的確に把握して取り組まなければなりません。

 エスキスに取り掛かる前に、課題文のU.要求図書までしっかり読んで取りかかるように言いました。
課題文の末尾に「計画の要点等」が書かれているからです。この項目をしっかり読んで計画しないと、
いざ、要点を書こうとしてもなかなか書けるものでは無いですね。逆な言い方をすれば、計画は「計画
の要点項目を意識して計画する。」と言うことです。
計画する前に読んで、内容を頭に入れて計画すれば、エスキスの段階で回答文章は出来上がっています。



【計画の要点等】

(1)建築計画について、次の@〜Bの要点等を具体的に記述する。なお、要求図面では表せない部分
   についても記述する。
  @ 一般開架スペース、サービスカウンター、小ホール及びカフェについて、その位置とした理由
    及び動線計画において工夫したこと。
  A バリアフリーについて工夫したこと。
  B セキュリティについて工夫したこと。

(2)構造計画について、次の@及びA要点等を具体的に記述する。なお、要求図面では表せない部分
   についても記述する。
  @ 建築物に採用した構造種別、架構形式及びスパン割りとこれらを採用した理由。
  A 小ホールの構造計画について工夫したこと。

(3)設備計画について、次の@〜Bの要点等を具体的に記述する。なお、要求図面では表せない部分
   についても記述する。
  @ 吹抜け部分にいける冬季の空調設備計画において、快適な温熱環境を提供する観点から注意す
    べき点及びその対応策(空調の吹出口の一、形式、吸込口の位置等)
  A 一般開架スペースにおける自然採光及び日射遮蔽について工夫したこと。
  B 小ホールの空調機械室の位置と吸気・還気ダクトのルート(ダクトスペース)について工夫し
    たこと。



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 では、チャレンジャーの「計画の要点等」の回答です。エスキス図と見比べて読んでみて下さい。

(1)建築計画

   @ まず、図書館部門と集会部門を階別にゾーニングにし、それぞれの動線が混雑しないように
     した。2階に配置した図書館部門は、メインである一般開架スペースを採光が安定した北側
     に配置した。サービスカウンターは利用者のEVや階段の近くに、更に管理部門に隣接した
     位置に配置し、図書館部門の利用上も管理上も容易な位置とした。主ホールは1階のメイン
     及びサブエントランスからスムーズに誘導される位置に配置し、広いエントランスホールが
     小ホールのホワイエを兼ねるられるようにした。カフェは、一般閲覧スペースとサービスカ
     ウンターの中間に配置し、更に吹抜けに面したスペースに配置することで、リラックスした
     気分で貸出し前の書籍を閲覧できるようにした。

   A 建物の出入口の段差は緩やかな水勾配として障害なくアプローチできるようにした。建物内
     で段差が生じる小ホールは、エントランスホールと同レベルの後席に車椅子利用者の席を設
     け配慮した。段差の生じる前席からの避難は、スロープを設けることで車椅子を利用しない
     人にも配慮した。

   B 建物の出入口の管理は事務室に受付カウンターを設けそれぞれのエントランスが監視出来る
     ようにした。また、図書館の書籍の不当持ち出しには、2階のEVと階段の手前にゲートタ
     イプのブックディテクション(BDS)を設置して防ぐこととした。


(2)構造計画

   @ 経済性と耐震性、振動、遮音性を考慮して全体を耐力壁付き鉄筋コンクリート造とし、小ホ
     ール大空間の一部の大梁にはプレストレス工法を採用した。スパン割りは縦横とも7mを基
     本とし、鉄筋コンクリート造に適したスパン割りとした。
     
   A 小ホールは180席も収容できる大空間であり、用途上柱のない空間が要求される。そのた
     めに、14mもの長大スパンとなる上に、更に上階を支える工法としてプレストレスを採用
     した。

    
(3)設備計画

   @ 冬期には暖気が吹き抜けの上部に溜まり暖房効率が落ちるため、吹抜け天井からの吹出しで
     なく1階の吹抜け周りの天井から横吹き方式とする。それでも上部に暖気が溜まるので、上
     部天井にサーキュレーターを取付け強制的に暖気を下方に循環させる。

   A 一般開架スペースは安定した採光を得るために北側採光とした。夏期に朝日や西日を避ける
     ために各柱に日射を避ける遮蔽壁と庇を設けた。

   B 空調機械室は地下1階に配置し、1階天井までダクトスペースを立ち上げた。1階スロープ
     通路の天井内でダクトを横引き、各スパン毎に分岐して梁成の大きなプレストレス大梁と交
     差させないダクト計画とした。吸気は機械室に接して設けたドライエリアから採気する。



【計画CAD図】・・・図をクリックすると拡大図になります。







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 ※次回は、「なぜ、こういう判断をしたか」などの心の動きや計画の根拠などを順を追って説明して
  いこうと思います。単に回答例を見るだけでは分からない説明は、皆さんの参考になると思います。
  
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◆試験も終わり、今では、あの時こうすれば良かった、あーすれば良かったと反省の念が頭をぐるぐる
 駆け回っている頃ではないですか。
 終わってしまったことを、いつまでも嘆いても仕方がありません。後は結果を待つだけです。でも、
 建築の勉強は、資格取得学習だけではありません。日頃の積み重ねが、即受験対策です。

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