~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H23.07.24記》
■ 平成23年度設計製図試験対策−1
平成23年度一級建築士設計製図試験の課題が22日に発表されました。
介護老人保健施設(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
「E&A」では、設計製図に関して支援ページを設けて受験者の皆様を支援しています。
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◆平成23年度は、新試験制度がスタートして3年目に当たります。新制度導入年に学科試験を合格し
ながらも、まだ製図試験に合格されてない方は、最後の製図試験の年となってしまいました。今年こそ
合格するぞと意気込みも強いものと思います。「最後まで諦めない!」これが今年のポイントではない
でしょうか。
7月22日に23年度の設計製図の課題が発表されると、設計製図試験もいよいよだなと身が引き締ま
る思いです。
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│ 平成23年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題 │
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│ 介護老人保健施設 │
│(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。) │
│ │
│ 要求図書 │
│ ●1階平面図兼配置図(縮尺1/200) │
│ ●2階平面図(縮尺1/200) │
│ ●基準階平面図(縮尺1/200) │
│ ●断面図(縮尺1/200) │
│ ●2階梁伏図(縮尺1/200) │
│ ●面積表 │
│ ●計画の要点等 │
│ │
│ (注)要求図面に、図示又は記入するもの │
│ ・主要寸法、室名、床面積 │
│ ・構造種別、架構形式等に応じて必要となる構造要素 │
│ ・柱、梁等の断面寸法 │
│ ・設備スペース、設備シャフトの位置 │
│ ・避難階段に至る歩行距離・歩行経路 等 │
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これが試験元が発表した内容ですが、昨年、一昨年とどう違うのか比較してみよう。
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│ 平成22年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題 │
│ │
│ 小 都 市 に 建 つ 美 術 館 │
│ │
│ 要求図書 │
│ ●平面図兼配置図(縮尺1/200) │
│ ●平面図(縮尺1/200) │
│ ●断面図(縮尺1/200) │
│ ●梁伏図(縮尺1/200) │
│ ●面積表 │
│ ●計画の要点等 │
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│ 平成21年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題 │
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│ 貸 事 務 所 ビ ル │
│(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸スペースを計画する。)│
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│ 要求図書 │
│ ●1階平面図兼配置図(縮尺1/200) │
│ ●基準階平面図(縮尺1/200) │
│ ●断面図(縮尺1/200) │
│ ●基準階梁伏図(縮尺1/200) │
│ ●面積表 │
│ ●計画の要点等 │
│ │
│ (注)要求図面に新たに図示させるもの │
│ ・耐力壁等の位置、柱・梁等の断面寸法 │
│ ・設備機器等の位置、設備シャフト等の位置 │
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基本的には大きくは違っていないようだ。昨年22年は要求図面のみのあっさりしたものだったが、
23年は21年と同様に注意書きが復活した。復活というより項目が増え、強化されたようだ。
課題から見て見よう。今年の課題の介護老人保健施設は、昨年の美術館と違い身近な課題となった。
私たちの廻りに数多く設けられ、また身内にも施設を利用されている人は少なからず居ると思う。
そう言う意味では取り組みやすい課題だろう。
昨年の美術館の課題では「設計魂がくすぐられる。」なんて言って、試験の本質から踏みはずした感が
有る。知らず知らずの内に、設計者が犯しやすい罠にはまったようだ。設計製図試験はコンペではない。
優秀作品をとこだわるのでなく、標準的な配慮をしつつまとめ上げる試験なんだ。標準的なすなわち、
世間一般にある最大公約数的な計画を目指せばいい。まず、介護施設の十他を知ることだ。
課題の次に( )書きで、通所リハビリテーションができるとある。さらに5階縦の建物で有ること
が分かる。ポイントは、通いのリハビリテーションの一般的な中身を知ることだ。
要求図書の断面、伏図、面積表、計画の要点は、例年と同じだ。問題は平面図が3面要求されている。
かなりハードな試験になるのは覚悟した方が良い。基準階は入所施設だろうから、ホテル等で計画する
ように、有る程度大きさ毎にパターン化して対応することがポイントだろう。実質的には1階、2階の
計画が勝負だ。
注意事項に目を向けると、主要寸法、室名、床面積を記入するように指示がある。経験した人は分かる
だろうが、これらは課題文の中の要求事項に書かれていた。課題項目に揚げるのは馴染まないが、意図
が有るのだろう。従来は余り守られていなかったけど、今年は厳しく審査するよ。ってシグナルかな?
構造に関しては、種別、形式に応じてとあるので、今年も自分で決めることになるだろう。しかし、
一般的に事例の多い種別、形式にすべきだろう。敢えて特別な工法を今から学習することはない。消化
不良になるだけだ。
計画の要点は、新制度から始まったものだが、3年目となると受験者の皆さんも要領は分かってきた
と思う。当初は、学科と同じように暗記したり、知識を披露したりと随分お門違いな学習をした人もい
ただろう。しかし、昨年ハッキリしたことは、合否において大きく影響した事だろう。まず、計画の要
点は計画の説明だから、自分の計画と整合性がなければならない。自分の計画の説明もできないようで
は、基本的に設計の資格は与えられない。
日頃から計画に当たって、は意図を持って計画することだ。あーでもない、こーでもないと只並べて
いる内にこーなってしまったでは要点は書けないだろう。逆な言い方をすれば、意図を持って計画すれ
ば、意図したことを書くだけだから、計画の要点はそんなに苦労はしない。とは言っても、最近の人は
仲間内にだけ通じる文章には慣れていても、人に読んで貰う文章は苦手だ。第3者に伝わる文章は多少
の練習が必要だろう。
設備に関しては、設備スペースとシャフトの位置が問われている。方式は与えられるにしても、自分
で決めるにしても、方式に応じたスペースはしっかり把握しておくことだ。まず、一般的な方式を調べ
てみよう。
最後の注意事項もわざわざ書かれると深読みしたくなるが、ここは素直に介護老人福祉施設のポイン
トとして注意しよう。これから学習する上でのポイントだね。
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◆第一回目は、課題に対する感想をお送りしました。
兎に角、実在の介護老人保健施設をまずは見ること、空間を体験することだね。正直に見学にきたと
言えば、裏方まで見せて貰えるかも。ついでに、使い方の悪さを愚痴られるかも知れないよ。
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