∞∞∞∞■一級建築士設計製図試験チャレンジ奮闘記:『計画の要点編』∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞《H23.10.14記》



 今日は本試験の計画の要点をお送りします。
皆さんは本試験で全項目記入しましたか。計画の要点は自分の言葉で記述するのが第1です。中には、
パターン化された文章を書き写したようなものは、設計者の思いが伝わってきませんね。要点をしっか
り書けると言うことは、計画も成り行きでなく意図して組み立てられていると言うことです。

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◆計画の要点

 本試験での要求に受験者はしっかりと回答しなければなりません。計画の要点は、それぞれの計画を
図面に表れないものも含め、言葉で回答することです。そのためには、この課題で試験元(依頼主)は
何を欲しているかを的確に把握して取り組まなければなりません。

 エスキスに取り掛かる前に、課題文のU.要求図書までしっかり読んで取りかかるように言いました。
課題文の末尾に「計画の要点等」が書かれているからです。この項目をしっかり読んで計画しないと、
いざ、要点を書こうとしてもなかなか書けるものでは無いですね。逆な言い方をすれば、計画は「計画
の要点項目を意識して計画する。」と言うことです。
計画する前に読んで、内容を頭に入れて計画すれば、エスキスの段階で回答文章は出来上がっています。



【計画の要点等】

(1)建築計画について、次の@〜Bの要点等を具体的に記述する。なお、要求図面では表せない部分
   についても記述する。
  @駐車場及び車寄せの計画について、その位置とした理由及び動線計画において工夫したこと。
  Aレクレーションルームの計画について、その位置とした理由及び動線計画において工夫したこと。
  B療養室A及び療養室Bの計画について、その位置とした理由及び動線計画(避難計画を含む。)
   において工夫したこと。

(2)構造計画について、次の@及びA要点等を具体的に記述する。なお、要求図面では表せない部分
   についても記述する。
  @建築物に採用した構造種別、架構形式及びスパン割りとこれらを採用した理由。
  Aスラブ及び小梁の架け方について、工夫したこと。

(3)設備計画について、次の@〜Bの要点等を具体的に記述する。なお、要求図面では表せない部分
   についても記述する。
  @空調設備、給排水衛生設備及び電気設備における光熱費の削減のための「設備方式・手法」及び
   「その具体的な削減効果」について四つ記述すること。
  A「受水槽及び給水ポンプ」及び「寿変電設備」について、その設置場所を記入し、維持管理又は
   機器からの騒音・振動防止の観点から工夫したこと。
  B地震等の災害に対する設備計画について、「設備の損傷防止」、「停電」及び「断水」のうちか
   ら二つ選択し、対応策を記述すること(停電や断水は3日程度を想定する。)



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 では、チャレンジャーの「計画の要点等」の回答です。エスキス図と見比べて読んでみて下さい。

(1)建築計画

   @車いす使用者用の駐車場や車寄せは、利用者の便宜を計らいエントランスに近い位置に計画し
    た。雨に濡れる事無く乗降及びアプローチ出来るように庇を設け、特に車寄せはピロティ部分
    に設けることで安心して利用できるようにした。

   Aレクレーションルームは、この施設の中で最も大勢の人々が利用し、楽しみにしているスペー
    スです。エントランスホールに隣接し、南側の公園に面した日当たりの良い場所に計画した。
    高い天井と全面ガラスで明るく開放的な快適な空間となるようにした。

   B療養室Aは主に西側道路に面して、療養室Bは東側道路に面して設けることで採光を確実に確
    保した。日中は、南側に設けた談話室や食堂で公園の眺望や日当たりを楽しめるように、寄り
    つきやすいシンプルな回遊式廊下とした。
    吹き抜けに面した回遊式廊下は2方向避難が確実に確保できる他、火災時の排煙が容易になり
    安全に避難できる。
    
    ※訂正ラインの文章は、長すぎた場合は削りましょう。問われていない回答になっているから
     です。記入枠が多ければ、花を添える意味で書いても良いでしょう。



(2)構造計画

   @階層5階建ての中規模の建物に適した鉄筋コンクリート造で、耐力壁付きラーメン架構とし、
    剛性を高め地震時の変形も少なく、安定した架構形式とした。
    スパンは鉄筋コンクリート造では標準的な6mと7mを採用し、建設コストの経済性も配慮し
    た。(対策−5)

   A1グリッドの床版面積が30uを超えるために、中間に小梁を入れ床版のたわみや振動防止に
    努めた。
    又、基準階の跳ね出し廊下を支える片持ち小梁と、隣接する一般のスラブ受け小梁とが連続す
    るように設け、大梁にねじれが生じないようにした。


    
(3)設備計画

   @1.照明器具をLED照明器具にし、消費電力を押さえる。
    2.コージェネレーションシステムを採用し、発電の廃熱を利用して給湯費用を削減させる。
                                       (対策−4)
    3.空調の新鮮空気を取り入れる際、熱交換器を介して取り入れ、空調負荷を低減させる。
    4.雨水をピットに蓄え、植栽などの水散布に利用し水道費用を削減させる。(対策−4の3)

    ※その他に、
    5.ガスエンジン式の空冷ヒートポンプマルチ型エアコンとし、ランニングコストを削減させ
      る。(対策−4)
     (指定方式の1種と考えるが、安全を期すなら避けよう。中には偏屈の採点官が居るかも)
      
    6.ピットに氷蓄熱槽を設け、夜間の電気を利用して製氷し、余熱を利用して空調費を削減さ
      せる。(対策−4の3)

    7.窓ガラスにLo−Eガラスを採用したり、遮熱フィルムを貼り熱負荷を低減させ、空調コ
      ストを削減させる。(広い意味での設備に当たりOKか?)

   
    ※記述したからには内容が伴わないと減点の可能性大。例えば、6などは知識として知ってい
     ても、製氷設備の規模等が分かっていなければ採用しにくい。採用すれば、設備室の大きさ
     に反映する必要が有る。


   A受水槽及び給水ポンプは設備室の中に設け、外部に騒音が漏れにくい構造とした。ポンプの基
    礎とスラブ、更にポンプと基礎との間に防振ゴムをはさみ振動が躯体に伝わらないようにした。
    受変電設備は、関係者以外立ち入れない建物屋上に屋外型キューピクルを設置し、周りには点
    検に充分なスペースを確保した。

   B1.太陽光発電設備を屋上に設置し、災害時での最低限の電源を可能にする。また、ガス供給
      に支障がない場合には、コージェネレーションシステムで発電が可能とする。(対策−4)

    2.機器は躯体にしっかりとアンカー固定し、更に重要な機器に対しては免震構造の土台とし
      揺れを吸収させる。配管等は可とう管継ぎ手を採用し、吊り金具には斜めの振れ止めを設
      置して損傷を避ける。(対策−5 設備の地震対策参考図に掲載)


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 ※「E&A」の建築士サポートページをご覧になっていた皆さんは、「計画の要点等」の出題項目を
  見て、直ぐに考えが頭に浮かんだのではないでしょうか。サポートページで伝えられる量は知れて
  いるので、要点だけを伝えるようにしています。設備のこと、避難のこと、災害時のこと等一応触
  れました。表現は別として書く内容は頭に浮かんだのではないでしょうか。

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◆試験も終わり、今では、あの時こうすれば良かった、あーすれば良かったと反省の念が頭をぐるぐる
 駆け回っている頃ではないですか。
 終わってしまったことを、いつまでも嘆いても仕方がありません。後は結果を待つだけです。でも、
 建築の勉強は、資格取得学習だけではありません。日頃の積み重ねが、即受験対策です。

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