~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H22.01.15記》
■ 平成21年度設計製図試験対策−3


◆試験元の評価基準を探ろう。 【受験者回答図面から読み解こう】 今年も日経BP社が、受験者の復元図面と合否の結果を載せました。 対策−3では、前回の「試験元の標準解答例から読み解こう」に続いて、受験者の復元図面から合否の 判断となるものを探ろうと思います。まず、この文章をプリントアウトして、公表されている受験者の 復元図面をクリックしダウンロードして見比べながらご覧下さい。 (ケンプラッツ会員でない人はご覧になれません。下記URLから会員登録して下さい。  それから、日経BP社発行の日経アーキテクチュアは、建築を知る上で役に立つ雑誌です。)  日経BP社「ケンプラッツ建築・住宅」  復元図面 まず、日経BP社の記事を読んで、文中にあるように皆さんで合否の判定をして見て下さい。 7枚の復元図面の合否はどう判断されましたか? できれば、最初は第1印象で、次は採点項目を定め て判断すると良いかと思います。第1印象と2回目の判断で変わったでしょうか? 私も判定してみました。判定に当たっては、次の観点から減点方式(部分的に加点)で見てみました。 A.周辺環境の考慮。(南、東側住宅に関わらず、全体の周辺環境)    アプローチ :    →不具合項目1ヶ所に付−1    周辺への配慮:    →配慮1ヶ所(0)、2ヶ所(+1)、3ヶ所(+2) B.課題で求められている事項。   1.建物の機能(バリアフリー、セキュリティ、事務室の収益性、快適性、フレキシビリティ)      有効率レベル   →70〜73%=レベルT(0)、73〜77%=レベルU(+1)、77%≦レベルV(+2)   2.構造計画。(構造種別と架構形式及びスパン割り等の計画)               →不具合項目1ヶ所に付−1   3.設備計画。(空調方式と設備スペース及び各シャフトの計画)                →不具合項目1ヶ所に付−1   4.環境負荷低減対策。 →1対策=(-1) 、2対策=(0)、3対策=(+1) C.建物計画。  (要求所要室の計画及びゾーニング、動線計画)   1.所要室:ショールーム天井高 →3m>(-1)、3m=(0)、3m<(+1)        :その他必要室 →不備項目1ヶ所に付−1   2.ゾーニング :    →不具合項目1ヶ所に付−1     3.動線    :    →不具合項目1ヶ所に付−1 D.安全・避難等。(階段計画、排煙計画、斜線等法規制)   1.避難・安全 :    →不具合項目1ヶ所に付−1   2.法 規   :    →不具合項目1ヶ所に付−1 E.作図・その他。(作図力及び要求記述の書込み程度)   1.作図力   :    →レベル3段階評価(-1,0,+1)   2.作図量   :    →必要項目不備1ヶ所付−1 F.計画要点の記述内容。・・・今回は示されてないので判断不能。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ちなみに私の判定は以下の通りになりました。皆さんは如何ですか? 復元図番号     1回目(第1印象)    2回目(項目別精査) 復元図−1      ○            ○    −2      ×            ○    −3      △            ○    −4      ×            ×    −5      △            ×    −6      ○            ○    −7      ×            × ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【再現図面1】 ・特徴:南コア、北オープンスペース、西ショールーム、東喫茶 ・第1印象: ○     標準解答例−1に近い計画で、課題を素直にまとめた計画と感じます。     均一なグリッドで間仕切り壁もグリッドに沿って収められ、非常にまとまった印象を受けます。     作図量も要求されたことを忠実に描き、線の濃さ太さや記入文字の大きさなど自信を持って描     いた印象を受けます。 ・分析:この計画で残念なことは、北東に車いす用駐車場を配置している事です。対策−2でも述べた     ように、課題では車いす駐車場をエントランスの近くには要求していません。そうでなくても     弱者のことを考えることは重要ですが、歩道を横切って駐車するデメリットも考えた方が良い     でしょう。この駐車場の位置が、結果として喫茶店のカフェテラスを殺してしまってます。     機械式駐車場への出入口を南西の角の設けています。歩道が無くても、角から5mの範囲は避     けましょう。     耐力壁は、片側コアで有る以上XYともバランス良く設けることは無理ですね。少し試験元の     構造評価を気にしすぎて、設けすぎの感じもします。会議室の開口部が少ないのが残念です。     設備は計画の要点が無いので空調方式が不明ですが、必要な項目は網羅されていますね。ただ、     EPSが数多くありますが、事務室内のEPSは空調用PSの方が良いですね。     伏図は作図的に少し不備ですね。外腰壁、階段、EV廻り壁、耐力壁が書けていませんね。     道路車線は北西の角が微妙です。   ・項目評価  A.土地利用・周辺環境の考慮 【0】    アプローチ    :車いす(-1)    周辺への配慮   :南の離隔距離、南・東の視線(+1)  B.課題で求められている事項 【0】   1.建築計画    :カフェテラス(-1)、有効率レベルV(+2)、ショールーム天井高(+1)   2.構造計画    :X方向耐力壁(-1)   3.設備計画    :空調;PS (-1)   4.環境負荷低減対策:(0)    C.建物計画         【0】   1.所要室     :(0)   2.ゾーニング   :(0)     3.動線      :(0)        D.安全・避難・法規等    【-3】   1.避難・安全   :事務室出入口1ヶ所(-1)   2.法 規     :排煙表示(-1)、交差点車出入口(-1)  E.作図・その他       【-1】   1.作図力     :表現(+1)   2.作図量     :建具表示(-1)、伏図壁未記入(-1)  ★【-4】>-10  ○  (試験元評価=合格) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【復元図面2】 ・特徴:南コア、北オープンスペース、西ショールーム、東喫茶、機械式駐車北入り口 ・第1印象: ×     復元図−1に似た構成だが、基準階コア計画に難が見られる。     作図のフリーハンドは頂けない。作図と言うより、殴り書き。時間的余裕のなさを表している。 ・分析:この計画は、課題に忠実にまとめようと言う気持ちは伝わりますが、設計者の意図が余り見え     ません。ただ埋めていったって感じですね。コアの計画やカフェテラス、1階屋外機置場にそ     れらを感じます。もう一ひねりすると良かったのでしょうが、作図に見られるように時間が足     りなかったのでしょう。     設備面が少し不得手のようですね。空調用PSが小さいし、1ヶ所は横引きが長くなりすぎま     すね。排煙は機械式を想定していますが、1階にDSが有り、屋上に排煙機が無いと言うこと     は、地下に排煙機を設置と判断してしまいます。煙は何処に排出するのでしょうね? ・項目評価  A.土地利用・周辺環境の考慮 【0】    アプローチ    :車いす、機械式駐車(-1)    周辺への配慮   :南の離隔距離、南・東の視線(+1)  B.課題で求められている事項 【-4】   1.建築計画    :カフェテラス(-1)、有効率レベルU(+1)、ショールーム天井高(-1)   2.構造計画    :耐力壁(-1)   3.設備計画    :空調;PS、屋外機置場(-1)、防災;排煙(-1)   4.環境負荷低減対策:(0)    C.建物計画         【-1】   1.所要室     :基準階廊下計画(-1)   2.ゾーニング   :(0)     3.動線      :(0)        D.安全・避難・法規等    【-2】   1.避難・安全   :(0)   2.法 規     :非常用進入口(-1)、交差点車出入口(-1)  E.作図・その他       【-2】   1.作図力     :フリーハンド、外構表現(-1)   2.作図量     :伏図壁未記入(-1)  ★【-9】>-10  ○  (試験元評価=合格) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【復元図面3】 ・特徴:南コア、北オープンスペース、西ショールーム、東喫茶、歪な基準階 ・第1印象: △     細部までしっかり描かれてたオーソドックスな計画だが、基準階が歪なプランで大きな欠点を     持っている。大きな会議室が1つしか無く、何か勘違いしたか?会議室を正しく設ければ、間     違いなく合格レベルだろう。惜しい!       ・分析:車いす駐車場を安易にエントランスの近くに設定し、ショールームと被った状態になっている。     敷地周辺の配慮は南、東側に開口を設けないようにしているほか、緑化して配慮しているのは     評価できる。     建物は基本的な南コアでまとまっているが、何と言っても会議室の読み違いが痛い。正しくA、     B事務室に1室ずつ設けていれば、歪な基準階にはならなかっただろう。     1階の階高もショールームを考えれば、4mは低い。全体にショールームの扱いが悪い。     細部では、便所の設置がバランスを欠いている。基準階便所の大便器は各々2基は最低欲しい。     その他必要な室は、メールコーナー、1階給湯室等が欲しい。     機械式駐車場の範囲内に耐力壁が有るが、縦横スライドして移動する仕組みを考えれば問題だ。     設備面では一通り計画されているが、EPSの状態が理解されていないようだ。受水槽廻りの     離隔距離も学習してきたはずだ。学科で学習した事を作図に正しく反映させよう。 ・項目評価  A.土地利用・周辺環境の考慮 【0】    アプローチ    :車いす駐車(-1)    周辺への配慮   :南;緑化、離隔距離(+1)  B.課題で求められている事項 【-3】   1.建築計画    :有効率レベルV(+2)、ショールーム天井高(-1)、地下駐車場(-1)   2.構造計画    :耐力壁(0)   3.設備計画    :電気;EPS(-1)、給排水;受水槽離隔(-1)   4.環境負荷低減対策:対策不足;屋上緑化のみ(-1)    C.建物計画         【-5】   1.所要室     :会議室不足(-1)、その他必要な室(-1)、基準階形状(-2)   2.ゾーニング   :(0)   3.動線      :ショールーム事務室(-1)          D.安全・避難・法規等    【-2】   1.避難・安全   :(0)   2.法 規     :非常用進入口(-1)、排煙(-1)  E.作図・その他       【+1】   1.作図力     :(0)   2.作図量     :(+1)  ★【-9】>-10  ○  (試験元評価=合格) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【回答図面4】 ・特徴:センターコア形式、北オープンスペース、西ショールーム、東喫茶 ・第1印象: △     作図がしっかり描いてあり、建物形状も点対称ですっきりした計画である。細部の収まりな     ど手慣れた感じがする。しかし、何処かが変?それは、この計画が課題の要求に、どれだけ     向き合って計画したのだろうかと言う疑問だ。要求に応えると言うより、自己のイメージが     優先した計画に感じられる。この手の計画は、得てして減点が多いものだ。 ・分析:この計画は、周辺環境への対応が疎かになっている。周辺と関係無しに建物のフォルム有り     きって感じだ。アプローチでは、車いす駐車場が串刺し駐車で敷地を分断しているので、オ     ープンスペースが有効になっていない。ショールームも効果半減と言ったところだ。     建物計画ではセンターコアを採用しているが、この規模で廊下が2本は、無駄が多い割に必     要なEV前スペースも充分でない。執務室を見ても、実質の執務スペースは狭く、フレキシ     ビリティ等の要求は眼中に無いのでは?     1階ではセンターコアを旨く処理しきっていない。廊下が3本も重複して、不効率な計画と     なっている。便所計画を見ると、1階に必要以上の便器の数が設置されている反面、基準階     の数が少なさなど、もう少し気配りが欲しい。     この設計者は意匠系の人と感じる。設計の力が無いわけではないが、課題に沿ってまとめ上     げる意識を持たない限り、合格は難しくなる。 ・項目評価  A.土地利用・周辺環境の考慮 【-1】    アプローチ    :車いす駐車(-1)    周辺への配慮   :南・東の視線(0)  B.課題で求められている事項 【-4】   1.建築計画    :有効率レベルT(0)、フレキシブル性(-1)、ショールーム天井高(-1)   2.構造計画    :耐力壁(-1)   3.設備計画    :1階EPS(-1)   4.環境負荷低減対策:(0)    C.建物計画         【-5】   1.所要室     :EV前スペース(-1)、WC個数バランス(-1)、事務室収納スペース(-1)   2.ゾーニング   :廊下無駄スペース(-1)   3.動線      :管理サービス動線(-1)          D.安全・避難・法規等    【-3】   1.避難・安全   :(0)   2.法 規     :非常用進入口(-1)、事務室排煙(-1)、交差点出入口(-1)  E.作図・その他       【+2】   1.作図力     :(+1)   2.作図量     :(+1)  ★【-11】<-10  ×  (試験元評価=不合格) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【回答図面5】 ・特徴:西コア、北オープンスペース、西喫茶、東ショールーム ・第1印象: △     建物はシンプルに、何の気負いもなく手際よくまとめたって感じだ。作図はややあっさりして     物足りなさを感じるが、建物だけを見ると良くまとまっている感じだ。 ・分析:この計画を見ると、建物そのものは事務所ビルとしてまとまっているが、先の復元図−4と同     様に、課題は何を要求されているかしっかりと認識する必要がある。     敷地利用を見ると、車いす駐車を北に設けたために使いにくいオープンスペースになっている。     オープンスペースと一体となったカフェテラスを計画したが、オープンスペースが活きて無い     ために、何だかなぁ〜?って感じだ。     周辺への配慮は、南側に開口を設けない事で配慮したのだろうが、肝心の事務所の快適性は犠     牲になってしまった。短絡的に開口を設けないでなく、隣棟間隔を取るなど最善なものを検討     すべきだ。お陰で、南道路に対する非常用進入口が設けられてない。     その他18m道路の範囲内に基準階を収めてはいるが、北西の角はほんの少し道路斜線に掛っ     ている。この計画案は、道路斜線でもう少し慎重に事を進め、もう少し図面を充実していれば     違った結果になった可能性は充分に有る。     この設計者は、構造担当者ではないだろうか。構造担当者であるが故に策におぼれた感じがし     ないでもない。得意分野で墓穴を掘ると言うことは、良くあることだ。素直な概念で進める事     が大事だ。 ・項目評価  A.土地利用・周辺環境の考慮 【-3】    アプローチ    :車いす駐車(-1)、オープンスペース(-1)    周辺への配慮   :南の離隔距離(-1)  B.課題で求められている事項 【-2】   1.建築計画    :カフェテラス(-1)、ショールーム天井高(-1)、有効率レベルV(+2)   2.構造計画    :構造フレーム(-1)   3.設備計画    :   4.環境負荷低減対策:対策不足;屋上緑化のみ(-1)    C.建物計画         【0】   1.所要室     :(0)   2.ゾーニング   :(0)     3.動線      :(0)        D.安全・避難・法規等    【-6】   1.避難・安全   :事務室出入口1ヶ所(-1)   2.法 規     :非常用進入口(-1)、道路車線(-3)、交差点駐車(-1)  E.作図・その他       【-4】   1.作図力     :外構表現(-1)   2.作図量     :ショールーム(-1)、避難距離記入(-1)、部材リスト(-1)  ★【-15】<-10  ×  (試験元評価=不合格) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【回答図面6】 ・特徴:東側コア、北オープンスペース、東ショールーム、北喫茶 ・第1印象: ○     3方道路の立地を活かし、細部まで良く練られれた計画。作図は簡潔で明瞭な表現となって印     象度は良い。南の開口は事務室の快適性を重視し、南への配慮は離隔距離を取ることで配慮し     ている。 ・分析:先の復元図−5と同じ東側コアタイプだが、作図と言い遥かに完成度が高い。北側メイン道路     にビルの顔を保ちつつ、西側公園の環境を取り入れた計画は計画姿勢に主体性を感じる。     僅かではあるが、北西の角で道路斜線が当たっている。しかし、その他には大きな減点は見ら     れない。この計画は合格と聞くと少し安心した。高さ制限違反は重大なミスだが、一発不合格     でなく減点項目のようだ。特に今年の課題で道路斜線一発不合格は不条理だ。それでも減点は     大きいと思うから、斜線に掛かっても合格した人は、それを上回る内容の計画だったと思う。     敷地利用は串刺し駐車が有るものの、旨くまとめている。良くを言えば、作図に於いて南敷地     の外構を計画すると良かった。自転車置き場等設ければ加点を与えたくなる。     建物は、1階の階高が小さいのは残念だ。自動車のショールームで有る以上、天井高は重要な     ファクターだから、これしか取れませんでしたでは計画の進め方としてはお粗末。車の配列は     北側メインに向けて並べるのが普通だろうが、天井高の関係で西向きに並べているのも本末転     倒だろう。     それでも、細部まで検討してまとめているのが良く分かる。設計者は経験も豊富な様子が伺わ     れるが、PC梁も経験したのかな? 部材リストでは、柱を数種類に分けて欲しかった。 ・項目評価  A.土地利用・周辺環境の考慮 【-1】    アプローチ    :車いす駐車(-1)    周辺への配慮   :(0)  B.課題で求められている事項 【-1】   1.建築計画    :有効率レベルU(+1)   2.構造計画    :構造フレーム(-1)   3.設備計画    :給排水;受水槽室(-1)   4.環境負荷低減対策:対策不足;屋上緑化のみ(-1)    C.建物計画         【-1】   1.所要室     :ショールーム天井高(-1)   2.ゾーニング   :(0)     3.動線      :(0)        D.安全・避難・法規等    【-5】   1.避難・安全   :事務室出入口1ヶ所(-1)   2.法 規     :交差点車出入口(-1)、道路車線(-3)  E.作図・その他       【+1】   1.作図力     :(+1)   2.作図量     :(0)  ★【-7】>-10  ○  (試験元評価=合格) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【回答図面7】 ・特徴:南コア、北オープンスペース、西喫茶、東ショールーム ・第1印象: ×     一見してオーソドックスな印象を受ける。ただ、敷地に余裕が無く、無理な使い方をしている。     1階の計画は、室の機能等を深く考えずに、ただ並べている感じがする。     作図は、定規とフリーハンドを併用しているので、雑な印象を受ける。 ・分析:車いす、サービス用車のアプローチを北から取っている。車いすはエントランスの近くと言う     ことで理解できるが、サービス駐車場と荷捌スペースを北側に設けている。3方道路だからも     っと相応しい場所は有るだろうに。この荷捌きがショールームに致命的な欠陥を与えている。     次ぎに隣地への配慮が全く感じられない。南側1スパンを1階建てにしているのは、隣地に対     する配慮でないことは屋上を設備置き場にしていることからも明らかで、配慮が欲しいととこ     ろだ。     建物はオーソドックスな基準階で有効率も80%に近い数字を出して良いのだが、有効率を上     げるために両サイドのスパンを1mづつ拡げたことが仇となって道路斜線に掛かってしまって     いる。設計者は頭から公園緩和を信じて疑わなかったようだ。1階の階高も躊躇すること無く     6mと充分に高い設定にしている。     作図は定規とフリーハンドの混用が目に付く。せめて躯体だけは定規で描く等統一しないと、     フリーハンド部分が雑になり印象は悪くなる。それと、定規にしてもフリーハンドにしても、     スケールアウトが目に付くのも印象が悪い。  ・項目評価  A.土地利用・周辺環境の考慮 【-3】    アプローチ    :車いす、サービス車(-1)    周辺への配慮   :南への配慮(-1)、オープンスペース機能(-1)  B.課題で求められている事項 【-1】   1.建築計画    :ショールーム機能(-2)、ショールーム天井高(+1)、有効率ランクV(+2)   2.構造計画    :X方向耐力壁(-1)   3.設備計画    :便所配管(-1)   4.環境負荷低減対策:(0)    C.建物計画         【-1】   1.所要室     :(0)   2.ゾーニング   :(0)     3.動線      :サービス管理動線(-1)        D.安全・避難・法規等    【−6】   1.避難・安全   :セキュリティ(-1)、事務所出入口1ヶ所(-1)   2.法 規     :排煙表示(-1)、道路斜線(-3)  E.作図・その他       【-3】   1.作図力     :スケール感(-1)、地下駐車場と機械室が不区分(-1)   2.作図量     :伏図壁未記入(-1)  ★評価【-14】<-10  ×  (試験元評価=不合格) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆ {E&A」が考える採点の基準と学習   1.従来、採点は減点法によると考えられたが、自由度を増した新試験制度では減点法のみで採点     するには無理がある。項目によっては標準を基準に(±)で査定、若しくは、加点が考えられる     ので、時間の許す限り出来るだけベストを尽くすことだ。     例:有効率70%以上と収益性に配慮と2つの要求が有る。70%以上有ればOKだが、これ       で満足してはならない。これは不合格にはならない最低ラインと見るべきで、有効率が高       いほど評価される。     例:環境負荷低減対策で、多くの回答はお茶を濁したように屋上緑化で済ましている。この程       度の対策では評価されない。せめて2対策以上で要求をクリアと考えるべきで、色んな手       法で積極的に検討すれば、+2程度は加算される。   2.周辺環境に配慮は1つの大きな採点ファクターなので、計画に当たっては最初に検討する重要     な事項である。配慮が多いほど加点を得やすい。      3.建築計画は、建物の用途上要求される一般的な機能、及び課題での要求を満足する計画である     こと。一般的機能は(±)で評価。課題要求事項は項目事に(−)で評価。     例:課題要求のフレキシビリティはOAフロアなど考慮してなければ(-1)。        4.構造は、適切な構造の種類、適正なフレーム(軸組、スパン)、適切な耐力壁、適切な部材。     梁伏図の部材符号は、大きさが同じでも負担応力に応じて符号を変えた方が良い。     耐力壁はXY両方向バランス良くが原則だが、無理に両方向設置にこだわってバランスを崩す     くらいなら、無理をしない。    5.設備は、給排水設備、電気設備、空調換気設備で評価される。防災は、基準法に関する排煙等     は評価対象だが、消防法に関するもの(屋内消火栓等)は対象外と考える。図面では有る無し     の減点法によるが、計画の要点の記述との整合性も要求される。   6.建物計画では、要求がある所要室は大きさに関わらず、全て計画する。所要室に記述されてい     るものは必須と考え、書き漏らさない。その他必要な室は、必要なもので漏れていれば、その     数だけ減点される。この場合面積の適正さは余り関係なく、室が設けられているかどうかだ。        7.H21年度の基準階の課題で有れば、動線もゾーニングも複雑ではないので空間構成で足切りと     言うことはないが、今後3階建ての課題が出た場合は、動線もゾーニングも複雑になることが     予想される。原点に戻って空間構成には力を入れて学習する必要がある。      8.安全・避難や集団規定に関する法基準はマスターしておこう。特に集団規定は、計画の根本に     関わる事なので重要だ。また、H21年のように一般法規解釈と試験での指示とが違う事もある     ので、試験では課題の方針に従って進める事が重要になってくる。学習したことや、教わった     ことがそのまま通じるか冷静に判断することが要求される。迷ったりしたら、安全策を採るの     が無難でしょう。   9.作図力は、採点官に好印象を与えるかどうか重要な要素です。或る意味、表現力でその人の設     計の力量が分かると言っても良いでしょう。いわゆるプロらしい表現を目指した学習が重要。     表現力の他に、作図密度も重要です。まず、要求されたものは全て描く事です。要求されたも     のが抜けていれば、即減点です。これらは努力すれば防げる減点ですから、試験に向かって作     図スピードがアップするように練習して下さい。時間を気にしながら書き上げた枚数の分だけ     合格につながるのは、間違いない!  10.最後に計画の要点は、標準解答例では充分に示されませんでしたので判定は難しいのですが、     合否を大きく左右したことは間違い有りません。     計画の要点で注意したいことは、図面と同様に何も書かない項目を作らないことです。10項目     有れば、文章の長い短いに関係なく全て書き込んで下さい。     H21年度の課題では、主に配慮したことを書くように指示がありました。配慮した事ですから、     あなたの考えを聞いています。知識を聞いているわけではありませんから、自信を持って自分     の計画方針を述べて下さい。構造や設備に関する事は、多少知識を基に方針を立てなければな     りません。学科での知識と作図とが合致するように、要点を整理する必要があります。     兎に角、簡潔な文章にまとめるには多少の訓練を要します。日頃の練習がものを言うのです。   ※ 上記のことは原則を述べているに過ぎない。試験では必ず課題文に従って進めること。
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