~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H21.1.10記》

■ 平成21年度設計製図試験対策−1


平成20年度一級建築士試験に合格された方々は、おめでとう御座います。残念ながら、努力の甲斐 なく不合格になった方々は、既に気持ちを切り替えて今年の受験に向けて決意も新たにされている事 と思います。 「E&A」では、設計製図に関して支援ページを設けて受験者の皆様を支援しています。 設計製図はまだ先の事と思っている皆さん、そんなに甘くないですよ。特に21年度からは設計製図 試験の制度も変わり、大変重要な年です。 設計製図試験合格は日頃の努力の積み重ねによるものだから、早く受験準備して下さい。資格学校の 設計製図の授業も、もうすぐ始まるようです。皆様も手遅れにならないようにしたいですね。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆平成21年度の対策は、平成20年度の設計製図試験を検証することから対策の第一歩とします。 【年度によって異なるハードル】 H20年度の課題は、垂直要素が多く、空間をしっかり把握する必要が有る課題でした。その他にも縛 りが多く、H19年度の自由設定での課題から一変したと言っていいでしょう。このように試験の仕組 みが年によってコロコロと変わるのは問題ですが、新制度に移行する段階での模索と感じます。 振り返ってみると、H19年度は構造・設備については受験者の自由設定にして、受験者にその意図を 述べさせるなど良い課題だと感じました。ところが、予想に反して受験者に力の差がでにくい試験と なったようです。どこで合否のラインを引くかが難しい試験となってしまったんですね。 設計製図試験が絶対評価なら数に関係なく合格の判定をすれば良いと思いますが、絶対評価は表向き のことで、資格者の数は社会のニーズで決まるものなので無闇に増やすわけにはいけない。結局些細 なことでの優劣で合否をせざるを得なかったようです。 その反省かどうか分かりませんが、H20年の課題は要求事項が多く出されました。建築設計士として 必須条件である空間の把握。ニーズに対するまとめる力が要求された試験だったと思います。 しかし、H20年度の課題は、H21年度からの 6.5時間の試験時間で有れば十分処理できたでしょうが、 5.5時間の中で処理するには余りにも難解だったと思います。 H19年度の教訓からハードルを高くして取り組んだ人や、出だしでつまずいてしまった人は、時間内 にまとめきれなかったのではないでしょうか。 結局、H19年度とは逆に、あれやこれや問題を抱えた計画案でも、書き上げれば合格の可能性がある ハードルの低い試験となったのは否めないことです。・・・・・(H20年度合格者がレベルが低いと 言う事では有りません。このことは、H20年度の「合格結果を見て」で述べた通りです。) 受験者が心しておかないといけないことは回答レベルのハードルは課題によって設定しなくてはい けない事です。まずは、書き上げなくてはいけないのです。 【採点基準】 設計製図試験で判定基準が不明瞭だという意見は多くあります。確かに試験元は「採点のポイント」 を発表していますが、これだけでは受験者は納得できないでしょう。 最近は、受験者自らが回答を公表して、その合否も知ることが出来るようになりました。合格、不合 格の双方の回答を目にして、意外に思った人が多かったのではないでしょうか。 どうも、受験者と試験元との間に採点のウエイトの置き方に違いが有るように思えます。公表されて いる採点ポイントが、どのようなウエイトで採点されているか、採点の詳細が公表されていないため、 公正に運用されているの?と採点の仕方に疑問を持つ者が多くいます。 ポイントのウエイトの加減が分からないため、受験者が疑心暗鬼になるのも頷けるところです。 しかし、元々、設計製図試験に細かい採点基準を設けることは馴染まないと考えますが、せめて標準 解答例には減点事項も含めて解説を付けての公表を希望します。 さらに、採点のポイントは事後に発表されていますが、どの項目が一発不合格に当たるのか、事前に はっきりさせて貰いたいと思います。 受験者が最も恐れるのは、一発不合格です。長年受験に備えて努力してきたにもかかわらず、減点と 思っていた項目が、予期せぬ地雷で一発昇天では浮かばれません。逆に、地雷と思って避けて通った ら減点で済んだでは、受験者は混乱してしまいます。 私は、一発不合格項目などは無く減点の積み重ねと思いますが、もし一発不合格項目が有るとすれば、 受験者にあらかじめ警告すべきと考えます。 平成21年度からの試験が新制度で施行されるのを機会に、もう少し採点基準などを公表して貰えれ ば、受験者も余計な心配も消え安心して試験に臨めますし、試験に対する不信も消えるものと思いま す。試験元には更なる改革を是非お願いしたいと思います。 さて、受験者の皆さんは、「採点の基準が分からないから、学習のしようがない。」と言ってても始 まりませんよ。設計をするときに、点数を意識して進めますか? 「この違反は何点減点ですか?」と点数を気にする時点から、すでに貴方は受け身になってますよ。 建築設計って、客の要望を聞きつつ貴方の考えを主体的に進めるのが本来の姿でしょう。 だから、どこに地雷があるかとか、この減点は何点かとか点数ばかりを気にしないで貰いたい。試験 なので何処かで合否の線引きはされますが、受験者が目指すのは計画が建物として成り立つかどう かですよ。 設計のソフト面には、優劣は有っても色んな考え方が出来るもので、正解なんて無いと言っても良い ですね。ただ、ハード面では、成立しなければ建物として成立しない訳だから、より良い建物となる よう技量を磨かなければなりません。 ハード面というと、構造や設備を思い浮かべるかもしれないけど、空間認識は立派なハードと言える でしょう。建築設計は空間を構成する作業ですよね。空間を形作るゾーニングや、ゾーニングのより 所となる動線もまたハードと言っても良いかもしれません。 ただ、ゾーニングや動線は絶対という尺度が有るのでなく、ややソフトに近い幅のあるものだと認識 した方が良いと思います。 【新試験制度に備えて】 今年平成21年は、建築士制度改革による新建築士試験元年に当たるわけですが、受験者の皆さんはど のような試験になるか心配な事でしょう。 設計製図試験での大きな違いは、試験時間が1時間延長して 6.5時間になることです。 さらに、試験内容で従来になかった「B構造設計及び設備設計の基本的な能力について、記述、図的 表現等を求めて行う。」が新たに加わった事です。 詳しくは、「一級建築士試験 平成21年からの変更内容について」を参照して下さい。 1時間の延長時間は、新たに加わった「B構造設計及び設備設計の基本的な能力について、記述、図 的表現等を求めて行う。」のためだけの時間で有れば、記述、図的表現等はかなりの量になります。 今後、試験元が具体的にどのような内容かを示さない限り、推測して対応するしか有りませんね。 各資格学校や指導塾も色々と推測して色々指導するでしょう。しかし、あくまでも推測なので、始ま って見なければ分からないことです。情報集めは、受験者の皆さんも個々にアンテナを広げ、情報交 換しなければなりません。・・・誰にも分からないことなので、1つの偏った意見だけを鵜呑みにし ないことが大事ですね。 でも、情報集めばかりに気を取られないようにして下さい。競馬で勝ち馬を予想するのでなく、走る のはあなた達だから、基本的な空間構成の技量と構造や設備の知識を身につけるのが最も大事なこと です。基本的なことが解っていれば、予想が外れていても対応は出来ますよ。 とは言いながらも、「E&Aサポート」でも予想してみましょうか。予想と言うよりも、こう有って 欲しいと言う要望みたいなものです。 1.記述は、H19年、20年でも要求された計画の要点等程度か若しくは、記述欄が若干増える程度。 2.図的表現は、新たに作図項目は増えないと考える。記述した事がしっかり理解されて図面に反映   されているかどうかの審判でしょう。   例えば、ダクト方式の空調設備を選択したにもかかわらず、梁と天井の間に充分なスペースが無   いなどは減点になるでしょう。   また、今年は少し甘かったと思われる基本構造については、もっと厳格になるでしょう。設計製   図ですから計算をさせることは無いでしょうが、標準的な梁成の大きさなどは採点に影響するで   しょう。 3.基本的な能力として考えられるのは、    構造主体の特徴、大まかな寸法。    空調方式の仕組みや特徴、標準面積、DS・PSの寸法・形状・位置。    電気設備の仕組みや特徴、標準面積、EPSの寸法・形状・位置。    給排水設備の仕組みや特徴、標準面積、PSの寸法・形状・位置。    省エネ・環境設備の仕組みや特徴。  新たに加わった構造・設備に関する事項に関心が集まりますが、従来の建物を計画する力が試さ   れるのは言うまでもないことです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆H21年度学科試験合格者から、設計製図試験を受ける権利は3回になりました。リターンマッチ  が2回になり、従来より1回増えたのです。一見喜ばしいことですが、それだけ設計製図は難しく  なりそうですね。  試験時間の延長は作図量の増加だけでなく、設計の質に当てなければならないでしょう。  内容的には、H20度の設計製図試験程度の難易度で、記述が若干増え、採点はシビアになりそうな  感じがします。  だから、勉強方法としては、従来のエスキス力向上の他に、学科で学習した事項を図面にどのよう  に反映させるか。大きさ、描き方が必要になってきます。  H20年度試験もエスカレーターが出題されましたが、日常目にしているエスカレーターでも、いざ  図面化するとなると戸惑った人が多くいました。たとえ実務設計で経験していなくても、日頃建築  雑誌に目を通していれば自然と身に付くだろうにと残念に感じました。      設計製図の試験は、時間が伸びたと言っても短時間でまとめなければならない試験であることには  変わり有りません。不本意な内容ながらも、時間内にまとめ上げなければならない。そう言う試験  なのです。  これらのことを充分に認識して貰って、次回からの講義に参加して貰いたいと思います。  設計製図の課題発表までにはまだ時間がありますが、課題に不変な一般的な計画の進め方や、構造、  設備の学習は今の内からも学習できます。  次回は、去る1/5 にケンプラッツ建築・住宅に掲載された図面や標準答例を使って、試験元の判断  を探ろうと思います。皆さんは、記事が消去される前に下記のサイトから図面データを保存すると  良いでしょう。  日経BP社「ケンプラッツ建築・住宅」
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