~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H19.7.23記》
■ 平成19年度製図試験対策(1)
昨日の7月22日に一級建築士学科試験が実施されました。結果はどうであれ最終的には設計製図
試験の関門を突破しなければ成りません。設計製図試験は学科試験と異なり、単にテキストを開き
学習するだけでは達成できません。これから数回に分けて対策を伝えていきたいと思います。
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【課題発表】
平成19年度の一級建築士設計製図試験の課題が、7月20日に発表がありました。
課題は、「子育て支援施設のあるコミュニティセンター」です。
課題のみの発表で、具体像が描きにくく対策には頭を痛めそうですね。
【実務と試験との違い】
実務で建物を設計するとなれば、「子育て支援はどうあるべきか?」「対象とする範囲はどの程度
か?」「コミュニティ施設と子育て支援施設との関わりはどうすべきか?」等を検討し、提案する
ところから始まります。この作業は建物を設計する上では非常に重要なことです。
しかし、資格試験に於いては、制度上このような提案は期待していません。大学を卒業して僅か2
年間の実務経験で得られる資格です。建築に対して、また設計に対しての基本的な資質が有るかど
うかを試す試験です。設計製図試験をあまり難しく考えない方が良いでしょう。
冒頭の建物の本質を決める提案等は、出題者の方から設計条件としてまとめてあります。受験者は
設計課題に従って、課題文章を建物として組み立てなければ成りません。しかも短時間で平面図、
断面図その他の図面でそれを表現しなければ成らない試験です。
建築設計は、設計者の自己表現的なところがありますが、試験に於いては主張の善し悪しを問うて
いません。設計条件に沿って建物として成立すればOKなのです。何てったって、時間が全くない
から、人より違った味を出そうにも出来ないですよ。これは今年の課題に関係なく、設計製図試験
への心構えですね。
【エスキスと作図】
設計製図の試験の特徴として、短時間で計画し作図を完成しなければならないことを既に述べまし
た。正味5時間半で成し遂げるのは、実務では有り得ないことですね。
「設計製図とは時間との勝負成り!」これが正直な感想です。だから、時間は一刻も無駄には出来
ません。時間の配分が重要になってきます。一般的にその配分は、次のように目安を立てると良い
でしょう。
エスキス・・・2時間半〜2時間 (課題文読み取りを含む。)
作 図・・・3時間 〜2時間半(課題の要求図面数による。)
※私自身が感じていることですが、作図の完成度が合否に大きく関連していると言うです。
いくら良い計画案でも、それが図面として表現が不充分だと評価しようが有りませんね。どうに
か書き上げる程度のものでなく、完成品として提出することが重要です。
そのためには、要求図面から作図時間を推測して時間構成を立てることが重要です。時間を推測
すると言っても2,3枚練習した程度では無理ですよね。作図に於いては、何枚書き上げたかが
重要で、十数枚、いや数十枚の練習が必要でしょう。作図の一連の動きを、身体で覚え込ませる
ことです。
【計画力】
作図は、誰でも練習すればするだけ無駄な動きも少なくなり、早く綺麗に描けるようになります。
計画力は、そう簡単には身に付きませんね。現時点での計画力は、これまでの経験や、建物と接し
方によって大きく差があります。
じゃ、今さら受験対策をしても間に合わないじゃないかと諦めることもないし、毎日設計の仕事を
しているので大丈夫!って自惚れるのも間違いです。
何度でも言うけど、設計製図と実務の進め方とは大きく違うって事を。だから、高をくくっている
と失敗するし、実務に不安を持っている人もでも、1発で合格する人は大勢いる事を。
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※
リターンマッチ組の皆さんは、作図の難しさは体験していると思いますが、初めて学科から受験し
ようとする皆さんは、作図には手こずるでしょうね。
設計を業としている人でも、今はCAD作図で鉛筆では作図をしなくなっているので、鉛筆書きの
製図は皆同じラインだね。
作図力は何枚書き上げたかに依るので、その機会を自ら求めて作ることですよ。
自らに甘く、つい甘えてしまう人には、資格学校などで揉まれるのも一つかな。通えなければ通信
教育も良いと思うよ。
次回からは課題に沿った学習をお送りします。では、健闘を祈ります。
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