~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H18.4.21記》
■ 平成18年度製図試験に向けて


平成17年度の設計製図の試験から、はや半年が過ぎました。 半年が過ぎたと言うことは、平成18年度の製図試験まで後半年も無いわけですね。 4月3日に「平成18年試験日程」が発表されました。 日程によると、インターネット受験申込受付が4月17日〜4月28日        受付場所による受験申込受付が5月 8日〜5月12日となってます。 インターネットでは、既に受付が始まっていますよ。手続きはお早めに! 今はインターネットと言う便利な物があるから助かりますね。受験に対するいろんな情報も有るし、 このページもその一つかな?でも、あんまり情報ばかり集めても、情報過多にならないようにしな くっちゃね。 このページは、製図受験を対象としているので、「あと半年、どうやって過ごすか?」のヒントに でもなればいいかなと思ってます。 今年製図試験を受験される方は、昨年の製図試験で残念ながら涙を飲んだリターンマッチ組と、今 年学科試験から受験される方ですが、学科から受験される方は、今は製図どころではないかもしれ ませんね。 昨年、国土交通省から、「平成17 年一級建築士設計製図の試験合格基準等について」が発表さ れました。昨年受験された方は当然読まれたことと思いますが、以下の文章でした。まず、出題元 の狙いを掴まなくてはね。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 一級建築士試験「設計製図の試験」は、「与えられた内容及び条件を充たす建築物を計画し、設計 する知識及び技能について設計図書の作成を求めて行う。」ものであり、その合否判定における平 成17 年試験の「採点のポイント」、「採点結果の区分」及び「合格基準」は、次のとおりである。 採点のポイント (1)計画一般(敷地の有効利用、配置計画、ゾーニング・動線計画、各部門・各室の計画等) (2)設計課題の特色に応じた計画   @ 新設部と既存部との一体的な平面計画・調和のとれた立面計画   A 防災学習部門、集会・生涯学習部門及び共用・管理部門のゾーニング・動線計画 (3)構造・設備に対する理解 (4)設計図書の表現 (5)設計条件・要求図面等に対する重大な不適合   @要求図面のうち1面以上欠けるもの、又は面積表が完成されていないもの   A新設部が「ラーメン構造による鉄筋コンクリート造(一部を鉄骨造としてもよい。)、地上    2階建」でないもの   B図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)   C新設部及び既存部の床面積の合計が「1,800 u以上、2,300 u以下」でないもの   D「所要室」及び「その他の施設」のうち、次のいずれかの室又は施設が計画されていないも    の     防災学習室、地震体験室、煙体験室、防災シアター、展示ホール、集会室、調理     実習室、和室、工作室、喫茶室、エントランスホール、管理事務室、災害用備蓄     倉庫、電気・機械室、多目的広場、便所(全くないもの)   E既存部の主要構造部を撤去(設備配管用の小開口は除く。)したもの   F新設部に乗用エレベーター(1基)が計画されていないもの   Gその他設計条件を著しく逸脱しているもの(多数の室・施設の欠落等) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 設計製図の試験は、A2版たった1枚の用紙で「設計する知識及び技能について」審査する制度だ から受験する方も、審査する方も大変だと思う。 昨年の製図試験の後に、受験者の声が掲示板などに寄せられていますが、根も葉もない噂が飛び交 っていますね。 ○○部門はすべて1階にないと失格だ!とか、△△への動線が無いと大減点だとか、◇◇の違反は 減点何点かなぁ?など課題の本質を忘れて減点を気にする論議が繰り広げられます。 しかし、製図の試験は学科の試験と違って、何点以上が合格!なんかじゃなくて、もっとファジー な試験だと感じるよ。重箱の隅を突っついて「はい、XX点減点!」なんて遣られたら堪んないよ。 課題に対して、どう解釈してどう答えるか。そのプロセスや考え方が見える図面は、少々の難があ っても合格するんだよね。だいたい合格図面は、点数の積み上げでなくても一目で分かるよ。 まず、建物らしい計画であること。良い悪いじゃなく、何の変哲もなく何処にでもありそうな建物 で結構!まず、建物として成立していること。 動線ばかり気にして、建物としてヘンテコリンな計画になってないか?振り返って見ればいい。 上記の採点のポイントにあるように、適正なゾーニングと動線計画は毎年問われる。それは、これ らを旨く処理することそのものが計画といっても良いくらいだから、課題で問われるのは当然の事 だろう。しかし、必要以上に動線にこだわっていないだろうか? 標準解答例でもはっきりしてきた。部門の動線が意外と交差してたり、遠かったりして必ずしも動 線に主眼を置いた計画とは言えない。 でも、冷静に考えてみよう。確かに課題文の設計条件で、「各部門間の動線に配慮」となっている。 だからといって、防災部門は1階に、集会・生涯学習部門は2階にと、完全に分離しなければ不可 なんだろうか?分離案だと、ゾーンも明快、動線も交差無し。間違いなく、ゾーンも動線も配慮し た合格プランの1つだよね。でも建物の案なんて1つじゃない。いろんな考えで、いろんな建物が 生まれる。設計製図の試験は、そう言う発想の善し悪しを見ているのでなく、建築として機能し、 成立するかどうかだよ。 ここで、ゾーニングと動線についてもう少し考えてみよう。 もし、課題に学習部門とゲーセンの複合ビルだとしたら、利用者層は勿論のこと利用目的が明らか に異なるので分離だよね。でも、防災学習部門も集会・学習部門も同じジャンルの施設だよ。集会 に参加した人が、帰りに防災の展示物を見て帰る。これって自然な流れだよ。分離じゃなくて、逆 に展示物は、この施設を利用した多くの人の目に留まりやすい所に配置する考えもあるよね。 課題の「各部門間の動線に配慮」とは、「分離しなさい」じゃないことは明らかだよね。分離した 方が良いのか、融合(共用部を介して)した方が良いのかは施設の性質にもよるので、ここは常識 で判断する所だと思う。 動線やゾーニングを気にする余り、分離に走るのは建物の本質を見誤ってるよ。だいたい、複合施 設にする意味がなくなる。1つの建物として計画する意味がなくなるんじゃないのかな。 サービス動線もしかり、絶対分離かと言うと絶対とは言い切れない所がある。開店前の準備期間に 搬入ができる程度の物で有れば、あえてサービス動線を別に確保することでもないだろう。 また、ホテルのバンケットホールへのサービス動線は、決して客の視線には晒さないだろう。新郎 新婦が着飾って入場しようとする脇を、他の宴会場の汚れた皿を積んだワゴン車が通り過ぎるなん て考えられない。 これって、常識の範囲で判断できることだよね。建築士の試験て常識人を求めているんであって、 決して奇才を求めてんじゃないよ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 常識人の判断力さえ有れば計画できるか? 皆さんも客としてホテルを利用したことは多いだろう。ロビーや廊下で汚れた皿を積んだワゴン車 を見かけたことはないはずだ。ではどう処理しているかは、裏方を経験していれば別だが、客とし て利用している内は、ホテルに何度足を運んでも分からない。 建物を計画するには施設全体を把握してなくちゃいけないから、表面的な一般常識の範囲だけでな く、専門家として学ばなくちゃならない。 今年ホテルが出題されると分かっていれば、今からでも参考書を求め勉強するだろうが、何がでる か分からないのに無闇に勉強もできないだろう。だから今のうちは、建築そのものを体験すること だ。 建築士を受験すると言うのに、建築の全体像が分かっていない人が結構多い。学科で学んだ1つ1 つが、建物全体に結びついていない。 設計は、建築の1つ1つの専門知識を総結集し具現化するものだから、具体的に建物全体像を掴ま なくてはならない。それには、足を運んで建物を体験すること。イメージできる建物を多く持つこ と。それが今必要じゃないかな。 課題が発表されたら、その時点で計画のポイントを学び、体験すればいい。 リターンマッチ組の皆さんは、作図の難しさは体験していると思うが、初めて学科から受験しよう とする諸君は、作図には手こずるだろう。設計を業としている人も、今はCAD作図で鉛筆作図は しなくなっている。鉛筆書きの製図は一朝一夕では上達しないよ。作図力は何枚書き上げたかに依 るので、その機会を自ら求めて作ることだね。 自らに甘く、つい甘えてしまう人には、資格学校などで揉まれるのも一つかな。通えなければ通信 教育も良いと思うよ。 課題が発表される頃、またお目に掛かりましょう。では、健闘を祈ります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

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