~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H16.11.21記》
■ 設計製図試験で思うこと


『もし、後30分掛けて冷静に検討してたら』をお送りしようと思いましたが、
所詮、時間内に仕上げる試験です。理想を追求する試験では有りませんので、止めることにしました。

この試験で大事なことは、『求められていることを、時間内に如何にまとめるか』に、つきると思います。
時間を掛けて理想の案を作り上げるものとは違います。多少欠点が有っても、まとめ上げることが重要な試験です。

だから、国が発表する解答例も決して理想案でなく、合格レベル例と言うことになります。
解答例が楽しみですね。

受験された皆さんは、発表まで落ち着かない日々を送られていることでしょう。
だから、どこそこの掲示板で、つい荒れた言動で論争を繰り広げるのでしょうね。

掲示板での論争に、「ものつくりプラザ」の位置論争が有りました。
多くの方の発想は、渓流を意識して渓流側へ配置したものと思います。
この論争は、少数派の旧街道側配置派の問題提起で、随分と盛り上がりました。

駐車場2ヶ所も論争になりました。
今年の課題はレストランを自由通路を挟んで離れに設置するとスムーズにまとまる感じの課題でした。
ところが、多くの資格学校では、駐車場の切り開きは1道路に対して1ヶ所と指導してきたから、 まじめに取り組んできた多くの受験者は苦労したと思います。現に、私自身も駐車場1ヶ所は拘りました。

現実にも、ほとんどの自治体では歩道の切り開きには制限を加えています。 「試験は現実と違う。」と反論される方もきっとあるでしょう。
しかし、試験ならなおさらのこと、動線処理に都合が良いからと言って駐車場を何カ所も設けるなんて試験の主旨に合わないと思います。
利用者用駐車場の入り口の表示が2ヶ所もあったら、利用者は戸惑うばかりです。

次に、建蔽率論争が有り、「即失格!」か「大幅減点」かの押し問答が有りました。
最後には、「建蔽率オーバーは、減点3で済むそうです。」と僅かに望みをつなぐ意見も出ました。

屋外自由通路論争もありました。指定範囲内に有るか、無いかの論争でしたね。
実は、私の解答例も微妙で、隣地から5m離して7mの機械室を挟んで7mの自由通路なんですね。

                町 屋
  ______________________________
  ────────────────────────────── 
                道 路
  ______________________________
   ┌─ ┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──
   8  │  │sP│  │P │  │  │外段│ 輪│ 
   ├─ ├──┏━┯┯━━┯━━┳━━┓──┏━━┓──┤ 
   7  │  ┃荷直│更更│事務┃E段┃ 屋┃機械┃  │
町屋 ├─ ├──┠─┴┼──┏━━┛──┨─外┠──┨──┤ 町 屋 
   7  │  ┃段 │sE┃EH│風除╂ 自┃  ┃  │
   ├─ ├──┣━━┿━━┫──┼──┨─由┠──┨──┤
   7  │  ┃厨 │  ╂  │WC┃ 通┃電気┃  │
   ├─ ├──┠──┏━━┻━━┿━━┫─路┗━━┛──┤
   6  │  ┃レス┃  木工工房  ┃ ものつくり  │
   ├─ ├──┗━━┷━━┷━━┷━━┛──┼プラザ──┤
   3─ ┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──
      │  │  │  │  │  │  │  │  │
      └5─┴7─┴7─┴7─┴7─┴7─┴7─┴5─┘
                        │     │
                        └─12──┘
これなんか、7mのピロティー空間の内、隣地から13m離れた部分から4mを自由通路として表示すれば済むものと考えます。

勿論4m部分が範囲内に無ければ減点でしょうが、製図の試験ってそんな重箱の隅を突っつくような採点とは考えていません。
もっと客観的に「建築としてまとまりが有るか、無いか。」じゃないでしょうか。

受験された皆さんの論争を見聞きしていると、細部に目が行ってしまい、課題で求められている主題を忘れた論争が多いように感じます。

もう一つ重要なことは、試験であれ、実務であれ、条件の中から自分で組み立てていく姿勢ですね。
「課題に沿っていくと、こうなっちゃった。」では、話にならないですよ。

それにしても、資格学校の解答例を見ましたが、駐車場の2ヶ所設置や、串刺し駐車有りには驚きました。今まで、指導してきたことを差し置いて、 兎に角、何でも有りですから。

まぁ、100点満点何てのは無いのだから、「何かを犠牲にして、いかに設計条件に近づけるか」なんですね。

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